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内容説明
海底から月、宇宙へ。生命の彩りはどこまでも。さらりと深い、フシギな3編を収録。●「25時のバカンス」深海生物圏研究室に勤務する乙女(おとめ)は、久しぶりに弟の甲太郎(こうたろう)と再会する。深夜の海辺にて彼女が弟に見せたのは、貝に侵食された自分の姿だった。●「パンドラにて」土星の衛星に立地する「パンドラ女学院」。物言わぬ奇妙な新入生・ロロに気に入られたナナは、幼き日の記憶を思い起こす。●「月の葬式」勉強も親の期待もわかってしまう天才高校生。試験の日に乗る電車を「間違えた」彼は、雪深い北の果てで、ひとりの「王子」と出会う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マーム
140
私にとっては初の市川春子さんの作品です。妙な言い方ですが、一度読んだだけでは内容がスッと頭に入ってこない何か含みを持たせたようなストーリーが面白かったです。それだけに何度でも読み返したくなる作品集です。 物語は異生物との共生がテーマ?の3つの物語。それぞれに独特の世界観があって魅力的です。 異生物を扱っているのでSFチックですが、どこか詩的でノスタルジック、そしてちょっぴりエロチシズム漂う不思議な印象です。 すっかり市川さんのファンになってしまいました。前作の『虫と歌』のほうも読んでみたいと思いました。2011/10/22
kanon
131
相変わらず、市川春子さんにしか出せない空気感があって、それがとても心地良いのです。どちらかというと読みにくい分類に入るだろう表現の仕方であることは否めないけれど、癖になっているのでそんなことは関係無くなってしまっている。どんどん読みたいと思わせてくれる。でも、短編短編の終わらせる所が、本当に丁度良い場面なので、もっと読みたいと言うよりは違う話をもっと読みたい、市川さんの世界にもっと浸かりたい、ということなのである。『虫の歌』に続いてこれも随分評価されたけど、何も間違いじゃない。違う話をもっと読みたいな!2013/05/22
匠
113
3篇を収録した短編作品集。ファンタジー色が強いけれど、やや難解な部分もあり、3回ほど読んだ。読んでいる間、必ず眠くなってくる表題作は映像的な演出力がすごいと思ったし、どこかエロティック。「パンドラにて」は個人的に何かが物足りない。そして最後の「月の葬式」・・これだけは冒頭部分から強く引き込まれ、身を乗り出して読んだ。不思議な読後感と絵の雰囲気。好き嫌いは分かれそうだが、初めて読む作家さんだったので、他の作品も探して読んでみたいと思った。2013/07/09
ヒロ@いつも心に太陽を!
99
「うっわ・・・」と思わず声をもらしたほど私には衝撃的かつ魅力的な作品。こんな作品を描ける漫画家がいることに驚き、出会えたことにわくわくする。収録作品3つとも好きだけど、やはり表題作には驚かされた。発想というか着眼点がすごいよ。市川春子氏の頭の中はきっと小さな宇宙だな。前作の短編集よりも私は好き。うまく感想を言葉にできないから、この本を読んでない人には「まずは読め。そして自分の目で見て心で直接感じろ」と言うしかなく、読んだ人には「ね?すごいよね?どうするコレ!」と興奮して話しかけようではないか(・∀・)!2011/10/08
眠る山猫屋
75
凄い。収録されている三編とも、内側から侵食される物語だが、侵食する生き物も、される人もその苦しみさえ受け入れて生きている。凄い。全体にダークな色合いも否めないが、それでも“人”としての枠組みを超えてしまいそうな危うさを秘めつつ、更なる先が見えそうで素晴らしい(あるいは怖い)。そして、可愛らしい(笑)2012/07/17