内容説明
代表作の『忍ぶ川』を始めとして、肉親や故郷を題材に作品を書き続けた三浦哲郎。その文学世界には郷里・青森と東京とを行き来する「楕円形」の空間が存在する。三浦の故郷を実際に歩いて肌で感じた経験を作品群の読解に結び付けて、「楕円」をキーワードに、「血」「風土」「宿命」などの文学の本質に迫る。
目次
まえがき――北国の、北国による挿話(ルビ:エピソード)
I 「野」の光景
1 ある短篇のこと
2 出稼ぎの父
3 「東京」がまだ遠かったころ
4 あふれる「野」の光景
5 生と性
II 八戸紀行
6 八戸へ 1
7 八戸へ 2
8 金田一温泉へ
III look at me
9 〈座敷わらし〉のこと
10 出生の秘密
11 『忍ぶ川』をめぐって 1
12 『忍ぶ川』をめぐって 2
13 文章について
14 look at me
IV 白夜
15 次姉貞子
16 “一族再会”――『白夜を旅する人々』 1
17 きょうだいのなかの“白夜”――『白夜を旅する人々』 2
18 清吾とれん――『白夜を旅する人々』 3
19 母
20 海嘯
V 歴史小説
21 『少年讃歌』をめぐって 1
22 『少年讃歌』をめぐって 2
23 北の不条理
24 サムサノナツハオロオロアルキ
VI モザイク
25 三浦哲郎の死
26 『モザイク』の小宇宙(ルビ:ミクロコスモス)
27 拳銃
参考文献
あとがき