内容説明
中国の「民族服」であるチャイナドレスの起源は清朝時代の貴族が着装した衣服で、二十世紀初頭に現在の形が誕生した。一九二〇年代から四〇年代の国際都市上海で大流行して一世を風靡し現在も愛好されているチャイナドレスの文化史を、多数の写真を添えて解説する。
目次
はじめに
第1章 満洲人の伝統旗袍(ルビ:チーパオ)と漢人の「上衣下裳」
1 旗袍の由来
2 伝統旗袍の肯定と否定
3 上衣下裳の流行
第2章 女学生の文明新装と新型旗袍
1 「文明」の象徴としての女学生
2 「流行症」にかかった女学生
3 ファッションアイドル扱いの女学生
4 世論操作に使われる女学生
5 新型旗袍の登場
第3章 「華」「洋」のはざまの摩登女子(ルビ:モダンガール)
1 新旧混在する一九二〇年代前半
2 華洋折衷の摩登女子の肖像
3 摩登女子と男性社会
4 国貨と洋物のジレンマ
第4章 海派と京派、二つの旗袍
1 海派文化と京派文化
2 「伝統」を重んじる京派旗袍
3 大衆文化の産物である海派旗袍
4 腹より面子(ルビ:メンツ)、新装に貪欲な上海人
第5章 女明星と映画服
1 中国映画のなかの女明星たち
2 女明星の光と影
3 「新女性」を演じる女性たち
第6章 「束胸(ルビ:スゥション)」から「放胸(ルビ:ファンション)」へ
1 中国の「内衣」文化
2 「束胸」の風習と中国的女性美
3 「束胸」から「放胸」へ
第7章 多様な旗袍素材の陰で
1 素材の多様化
2 模様の多様化
3 舶来品に対抗する国産品
4 舶来品崇拝の裏側で
第8章 旗袍を仕立てた職人たち
1 同郷人でできた成衣舗
2 成衣舗の魅力
3 歴史に残る成衣舗
4 職人たちの匠
5 職人たちの語り
第9章 作られた「民族衣装」と多様な旗袍像
1 旗袍の否定と「人民服」の意思表示
2 改革開放による旗袍の復帰
3 一九九〇年代後の旗袍ブーム
4 現代旗袍のあり方
第10章 中国女性の百年、旗袍からチャイナドレスへ
1 「清朝の臣民」としての女性
2 モダンを共有する「国民」としての女性
3 「民族服」を羽織った「中国人」女性
参考文献
あとがき
感想・レビュー
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メルセ・ひすい
陽香
残留農薬
くすこ
Fumi Kawahara




