岩波科学ライブラリー<br> 医学と仮説 - 原因と結果の科学を考える

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岩波科学ライブラリー
医学と仮説 - 原因と結果の科学を考える

  • 著者名:津田敏秀
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 岩波書店(2014/12発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 360pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000295840

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内容説明

なぜタバコやピロリ菌が発がん物質と言えるのか.目に見えない因果関係はどのように証明されるのか.公害事件で医学者の言動を問うてきた著者が,水俣病・タミフル・放射能など具体例を通して,「実験によるメカニズムの検証」という一見すると妥当な考え方に潜む問題点をつく.原因と結果を結ぶ科学の言葉がわかりやすく解説される.

目次

目  次
   はじめに

 1 科学の証明 因果は医者にも見えないので間違える
  約五〇〇〇人を対象とした発がん研究
  国際がん研究機関IARC
  発がん物質を人に対して割り付ける
  実験が必要不可欠とは単なる思いこみ?──実験研究と観察研究
  疫学的研究や観察研究は間接的か?
  日本で発表された観察研究
  ピロリ菌の発がん性に困惑した日本の専門家
  第一章のまとめ

 2 科学と実験 因果はDNAまで見ないと分からないか
  自然科学と科学の目的
  科学の基本用語
  観察と仮説・理論──実在世界と言語世界
  医学における因果関係の探求の歴史
  決定論とベルナール、メカニズム
  決定論から要素還元主義へ
  要素還元主義
  科学の範囲
  仮説のレベル
  要素還元主義の悪用
  第二章のまとめ

 3 科学と社会 因果推論の遅れがもたらす問題
  日本で実際に起こった要素還元主義に基づく失敗例
  森永ヒ素ミルク中毒事件
  水俣病事件
  和歌山市ヒ素カレー事件
  タミフルの問題
  最高裁判決は科学的証明にデテルミニスムを想定している
  現場で役立たない要素還元主義的な法律の仕組み
  第三章のまとめ

 4 科学と哲学 因果はなぜ見えないか
  因果関係は難しいのか?
  ヒュームは原因を定義した
  ヒュームの問題
  ヒュームの問題と現実の問題
  ヒュームの問題への対応策
  因果関係による影響の指標
  原因と結果は実在世界、しかし因果関係は言語世界
  第四章のまとめ

 5 科学と仮説 因果を整理する
  非巡回有向グラフDAGを描く
  交絡要因と別ルート
  オッカムのカミソリ
  整理したDAGに基づいてデータを集める
  第五章のまとめ
   おわりに
   参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zoe

28
疫学研究は世界的には直接的な証明がなされていると考えるが、日本はそうではないらしい。過去にあった事件を振り返ると、粉ミルクも魚も、そこに原因があることは分ってはいたのだ。だが、そこにヒ素が入っているとか水銀が入っているのだという確証がなかった。さらに踏み込んだ確証が得られないことに粉ミルクや魚が原因であるということに慎重になるのが科学者の立場であった。粉ミルクや魚が原因であることは分っていたのだ。2019/08/09

ほじゅどー

12
★★★★国際がん研究機関IARCがピロリ菌による発がん性を疫学により直接的に認めていたにもかかわらず、日本の医学界はそれを認めなかった。動物実験や臨床試験がないからという理由で。。。日本は胃がんが多い国である。失われた10年の間に胃がんで亡くなった方に対する専門家の責任は重い。2014/10/03

calaf

9
原因と結果は見えない/聞こえない/臭わない/味がしない/感じない。もちろん第六感など出してこようものなら科学的態度を疑われる。だから難しい?そう、そのために統計学があり、因果関係を推論することが出来るようになっている...という感じの主張かな?2011/11/24

しろくまZ

8
題名は「医学と仮説」だが、医学だけにとどまらない科学論全般について述べられている。原因と結果、因果関係、因果推論、メカニズム論、要素還元主義、ヒュームの問題、DAG等々。また、森永ヒ素ミルク事件、水俣病事件など、見当違いな要素還元主義的な手法を適用をした場合の失敗例も示している。医学に限らず自然科学や工学などにおいて厳密な意味で因果関係の「証明」など出来ない。「検証」を様々な形で繰り返し、疑いの余地が無いほど蓋然性が高いと確認できるだけ。その意味では「統計学は科学の文法である」という言葉に説得力を感じる。2015/05/05

yu01

4
原因結果の解明にはメカニズムの解明が前提とい常識の誤りと、その弊害について。今の法律では食中毒が起きても行政の調査は義務付けられていないこともあり、まだメカニズムの解明ができていないから原因の規制や強制調査ができない、という言説が成り立ち弊害を生んでいるらしい。森永ヒ素、水俣病、タバコ、O157、など。水俣病とタバコにいたっては、その常識を盾に意図的に規制を遅らせているものだからタチが悪い…!では常識が訂正されない理由はというと、筆者は医学者の科学常識の無知を挙げている。本当に??2012/05/26

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