内容説明
なぜタバコやピロリ菌が発がん物質と言えるのか.目に見えない因果関係はどのように証明されるのか.公害事件で医学者の言動を問うてきた著者が,水俣病・タミフル・放射能など具体例を通して,「実験によるメカニズムの検証」という一見すると妥当な考え方に潜む問題点をつく.原因と結果を結ぶ科学の言葉がわかりやすく解説される.
目次
目 次
はじめに
1 科学の証明 因果は医者にも見えないので間違える
約五〇〇〇人を対象とした発がん研究
国際がん研究機関IARC
発がん物質を人に対して割り付ける
実験が必要不可欠とは単なる思いこみ?──実験研究と観察研究
疫学的研究や観察研究は間接的か?
日本で発表された観察研究
ピロリ菌の発がん性に困惑した日本の専門家
第一章のまとめ
2 科学と実験 因果はDNAまで見ないと分からないか
自然科学と科学の目的
科学の基本用語
観察と仮説・理論──実在世界と言語世界
医学における因果関係の探求の歴史
決定論とベルナール、メカニズム
決定論から要素還元主義へ
要素還元主義
科学の範囲
仮説のレベル
要素還元主義の悪用
第二章のまとめ
3 科学と社会 因果推論の遅れがもたらす問題
日本で実際に起こった要素還元主義に基づく失敗例
森永ヒ素ミルク中毒事件
水俣病事件
和歌山市ヒ素カレー事件
タミフルの問題
最高裁判決は科学的証明にデテルミニスムを想定している
現場で役立たない要素還元主義的な法律の仕組み
第三章のまとめ
4 科学と哲学 因果はなぜ見えないか
因果関係は難しいのか?
ヒュームは原因を定義した
ヒュームの問題
ヒュームの問題と現実の問題
ヒュームの問題への対応策
因果関係による影響の指標
原因と結果は実在世界、しかし因果関係は言語世界
第四章のまとめ
5 科学と仮説 因果を整理する
非巡回有向グラフDAGを描く
交絡要因と別ルート
オッカムのカミソリ
整理したDAGに基づいてデータを集める
第五章のまとめ
おわりに
参考文献
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yu01