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内容説明
フーコーは、私たちが自明視する世界のありようを、全く違ったしかたで見せる。最高傑作『監獄の誕生』を糸口にフーコーの思考の強靱さと魅力を描き出す。正常と異常の区分を生み出す「知」の体系と結びつき、巧妙に作用する「権力」。そうした秩序が社会の隅々にまで浸透する近現代の先に何を見定めたのか。革命的入門書。
目次
1 フーコーの世界へ
2 身体刑とその批判
3 規律権力
4 近代国家と統治
5 監獄ふたたび
フーコーのリアルと、彼をつかまえにゆく方法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
45
『監獄の誕生』は近代的な身体性である規律をテーマとしたものではなく、自由刑は近代意識にとってどういう意味があるかということを問うていると著者はいいます。『言葉と物』の議論と重なる解釈で、前半で展開される前近代の考察は力があるように感じられ、興味深く読みました。しかし、後半は、当初の構想が尻すぼみになっている印象を受けます。7章以降の近代の考察は、近代の価値は政治的に無根拠であるとします。なぜかそれが、近代の無根拠さという価値を前面に押し出し過ぎているようにみえます。恐らく、近代の外部で近代を考えるというメ2019/06/17
かみぶくろ
42
ぶっちゃけ「監獄の誕生」原典読破はキャパ越えの予感しかしないので新書でまずエッセンスをいただくことにする。それでもやはり難解だ。フーコーは「当たり前を疑え」と我々に呼び掛け続けるが、そんな安い言葉で表現できないほどラディカルな意識の切換を求めてくる。我々が生きる日常社会を監理の行き届いた規律社会だと認識し続けるのは容易ではないが、ふとした瞬間に感じる不快を大切に、懐疑を片隅に控えさせておくスタンスは重要だと思う。筆者のフーコーへのリスペクトに溢れる熱い筆致に感銘を受けます。難しければ悩めばいいのだ。2014/11/15
吉野ヶ里
26
刑罰の変遷。見せしめ、矯正→隔離、利用へ。監獄の誕生。パノプティコン。規律の導入。ブルジョワジーの思惑。著者がフーコー好きなのはびんびん伝わったんだけど、内容がいかんせん薄い。もちっとぎゅっとまとめられたんじゃないかな、と。その分わかりやすくはあったけれど、でも、わかったからなんなのって感じになる部分も多かった。それでも、フーコーの本読んでみてえなとか思ったんで、この本はアリですな。著者の勝ちです。『監獄の誕生』と『言葉ともの』は読んどこうと思います。2015/05/30
加納恭史
18
まあ監獄を読み説く本。そこから現代を解説する。「監獄の誕生」は日本ではバブル崩壊前の1970年代に出版され、読み継がれている。フーコーの考えは多岐に渡り、分かりにくいのだが、私には面白いと感じられた。まさしく現代の哲学。フーコーは、私たちが自明視する世界のありようを、全く違ったしかたで見せる。「価値を変えろ!」と迫るその思想の核心に、どうすればたどり着けるのか?この本は、最高傑作「監獄の誕生」を糸口にフーコーの全貌に迫る。その思考を深く広く、生き生きと描く。巧妙に作用する権力と秩序の社会を見事に描き出す。2023/03/25
さきん
18
監獄の誕生を軸にフーコの思想を解説していく内容。囚人の扱いかたが時代のうつり変わりとともに変わり、中世においては、処刑の過程で肉体を大きく毀損する一見無意味で残酷な扱いをしていたが、フーコはこれに単なる処罰ではなく、王や権力を法をやぶることで侮辱したことに対する儀式としてのやり返しやそこからの権力の誇示を処刑という庶民にとっての娯楽を通して誇示する意味があったと考えていた。また、現在刑務所で長時間勾留するという処罰が主流となっているが、これも意味があり、一般に近代化が理由として考えられている他、フーコは2015/08/25