内容説明
「俳句不毛の時代」とされてきた江戸後期から幕末明治。だが意外にも「名句好句」の数々が! 松山藩家老奥平弾正、最後の幕臣中島三郎助、土方歳三、漂泊の俳人井上井月らの秀句。庶民が詠んだ暮らしの喜び。ミレーの絵画にも似た一瞬の情景……。近代俳句の改革とは何だったのか。子規の功罪を問い、俳句文芸の豊穣を再発見する。
目次
未知の空間に出会うまで
子規の言う「卑俗陳腐」とは
「近代俳句のあけぼの」
幕末伊予俳壇の二巨星
五稜郭決戦前の句会
政治にもまれて
美文調の敗北
老鼠堂永機vs正岡子規
宗匠の怪我の功名
井上井月という俳人
井月の句、普通の人の句
俳句維新へ、子規の戦い
主流はいずこに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新橋九段
1
子規が卑俗と捨てた俳句の中にも見るべきものは多くあった。子規が病床にあって俳句改革を焦ったために生れた強気の批評に、後世の文学者がろくな検証もなくのっかたが故の誤解かな。2014/12/04
紫暗
1
タイトル通り子規が何故、どうして、どうやって何を葬ったのかが分かりやすく書いてあったと思います。著者は国文学者でも俳句の宗匠でもないのですが、専門家ではない故の視点が話を分かりやすくしていたように思います。専門家にありがちな思い込みや権威ある理論に左右されないものの味方と、徹底した資料調査には脱帽です。俳句一つとってもその価値というのは見る人間によって大きく変わるのだと気づかされた一冊でした。2012/04/19
アオヤギ
0
タイトルから想定していたものとは少し違ったけれど、全く知識のない範囲を知ることができてよかった。どれが月並でどれが月並じゃないか自分で判断できる知識があればもっと面白く読めたはず…。2012/07/14