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内容説明
「市場競争を煽って格差を拡大し、日本の伝統を破壊した」「世界金融危機を引き起こした元凶」-現在の日本において、新自由主義ほど批判される経済思想はない。だが、その見方は本当に正しいのだろうか。本書では、「小泉改革」や世界金融危機の再検討、さらに日本経済史を通じて、その誤解をとく。そのうえで、新自由主義の思想に基づき、社会保障改革から震災復興まで、日本経済再生のビジョンを示す。
目次
第1章 新自由主義の思想とは何か
第2章 資本主義の終焉?
第3章 市場主義は日本の伝統
第4章 小泉改革で格差は拡大したか
第5章 小泉改革は「行きすぎ」だったか
第6章 社会保障改革
第7章 労働市場改革
第8章 新産業の可能性
終章 震災復興とTPP
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
30
山積する日本の問題を新自由主義の観点から見ていった一冊。しかしTPPは究極の新自由主義的発想でそこまでやるのは得策なのかと考えさせられた。2012/03/18
佐島楓
29
あくまでも経済学者の視点であり、生活者に即していないと思われる記述が散見された。2015/03/08
壱萬弐仟縁
17
この著者や市場は悪くなくて、政府の政策や制度の失敗を批判している(ⅳページ)。この論者のTPP論を読んでみたいものだ。自由貿易についての著者の見解から推理すると、TPP推進派であることは容易に理解できる。輸出業の説明は、円高の場合は厳しいはずだ(102ページ)。円相場の所与を加筆して説明しないと、円安ならまだしも、TPPで日本製品をアメリカ消費者が韓国製品と比べて比較優位があって購入してくれるかどうかは、未知数である。171ページの国民未納率の折れ線グラフによると、消費増税したら50%以上になりかねない。2012/11/14
Tomoichi
9
リーマンショック以降否定的に捉えられる新自由主義を「新自由主義=市場原理主義」的な誤解を解きながらその主義に沿った改革ビジョンを提示する。経済に関係のない夫婦別姓についての考えなど著者の考えには賛成出来ないが概ね理解し同意できる。簡単に言えば、社会主義的制度を廃止することが競争を生み経済が成長するってこと。そりゃ左翼マスコミは事実を曲げてでも新自由主義を潰しにかかるよね。ポジティブな提言としてこの本は70点かな。2016/06/19
ceskepivo
8
小泉改革の問題は、市場競争の行きすぎではなく、それと対になるべき、政府による生活の安全網の構築が不十分だったことである。企業に守られない層が拡大したにもかかわらず、企業依存型の福祉制度がそのまま維持されていることが、格差拡大の真の要因となっている。ふ~む。2015/06/10