内容説明
岩手県・天台寺の名誉住職である瀬戸内寂聴と、宮城県出身で日本を代表する哲学者・梅原猛が緊急対談! 東日本大震災後、日本人がこの難局を乗り越え、希望を見いだすために語り合う。
目次
第1章 東北から未来を学ぶ(一世一代の対談―翁と嫗の語り もうひとつの故郷「東北」―忍耐の国 ほか)
第2章 仏教に今、何ができるのか、心を癒すということ(仏教の力―地涌の菩薩となる 行基、空也、一遍―遊行聖たちの救済事業 ほか)
第3章 「日本人」のアイデンティティとは何か(日本の文学、文化―日本の文明を考える 天皇制・象徴天皇―道徳的シンボルとしての天皇家 ほか)
第4章 『源氏物語』の新しい読み方、苦難を乗り越えるために(『源氏物語』異聞―文学少女・私の生い立ち 私の文学体験―万葉と川端と… ほか)
第5章 震災後のめざすべき日本、よみがえりの思想(「あの世」へ往く―黄泉がえり 極楽から還ってきた―還相廻向 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pocco@灯れ松明の火
10
瀬戸内寂聴と梅原猛。2015/04/02
壱萬参仟縁
10
格差は悪くないと小泉元首相は豪語したが、「相手の哀しみを想像するということ―思いやるということ」(29ページ~)こそ重要だ。3.11を経て2年経過しつつある今、実感できる。梅原氏が指摘するように、男女共生思想は、法然が発想者で、親鸞は実践者という(71ページ)。男女共同参画として平等、同権とまでは言っていないのは保守派の思想かも。法然や親鸞には二種廻向(にしゅえこう)という思想がある(173ページ)。念仏すれば極楽往生へ行くが、あの世からこの世に還ってきて利他行(174ページ)。生ききれない時代を生きる。2013/02/24
みのくま
8
本書は東日本大地震直後に出版されている為、両人とも原発事故にかなり衝撃を受けている様子が分かる。大正生まれの両人が共に戦争と重ね合わせている事も大変示唆的であろう。他方、谷崎潤一郎や川端康成、円地文子、三島由紀夫など大作家との交流がバンバン出てくる処も面白い。特に源氏物語の現代語訳エピソードは注目だろう。また梅原は源氏物語から能や世阿弥について話を展開しており、そこに庶民の文学、怨霊の文学を見出している事にも留意したい。そして庶民の道徳規範に仏教がある事を指摘しており、その妥当性はこれから検証していきたい2024/05/09
犬養三千代
8
東日本大震災後すぐの対談。思い出す数々の出来事。辛かったな。、もう思い出したくない。2022/12/25
本虫
7
古典の知識や、過去の文化人との交流、昭和天皇の様子など、対談の内容は多岐に渡り、日本に長く生息した妖怪(?)が好きなことを話しているようでした笑2016/01/06