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内容説明
「我国旗の中央に点ぜる赤き丸形は……昇る朝日の尊き徽章(きしょう)となり……文明諸国の間に伍して前方に且(か)つ上方に動かんとす」と明治四年サンフランシスコで日本の進む途を謳い上げた「日の丸演説」。文明国たらんと憲法制定・議会開設に奔走、政党政治のあるべき姿を説き、台湾・韓国統治の意義を語って国制を彫琢した政治家・伊藤の代表的演説三九篇を収録。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Haruka Fukuhara
8
タイトル通りの演説集。最近伊藤博文の見直しが始まっているとか聞いた気もするけどどうなんだろう。もっとも自分のなかでは元々立派な人という認識だったので見直しと言われてもあまりピンと来ない部分もありますが。2017/06/30
spanasu
3
日の丸演説に始まり、帝国議会開始前後の憲法の作成者としての演説、政友会設立直前の1899年の「憲法行脚」と、伊藤博文の演説がまとめられており、特に「憲法行脚」の演説が多い。全体を通じて伊藤の漸進主義、「文明」の進歩への信頼、教育を重視する『「知」の政治家』たる様、その楽天的な性格は色濃く現れ、憲法制定前後の政党政治を原理的には否定しない言説が特に面白い。編者である瀧井氏の『伊藤博文』を読んだことがあるため興味深い演説集であったが、伊藤の晩年にあたる韓国関係の演説がもう少しほしい(ないだけかもしれないが)。2019/10/22
くまさん
2
最後まで韓国併合に反対していた伊藤が初代韓国統監として朝鮮半島に渡った目的は、現地陸軍参謀本部と駐留日本軍を監視し、その主唱する満州への積極進出を押し止めることであった。そして強くなりすぎた軍政を立憲体制の枠内に収めるための改革を仕掛け、憲法改正も視野に入れていた。後年の民本主義や憲政擁護を先取りするものとすらいえる。本書をひもといた人は、伊藤が独自の世界観と国際認識に基づいた揺るぎない国家理念を抱いて直接国民に語りかけた言葉の重厚さと清新な民主的思想に気づかれ、そのイメージを一新することだろう。2013/01/30