- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
「限りない経済成長」を追求する時代は終焉を迎えた。飽和した市場経済のもと、われわれの社会は「平等と持続可能性と効率性」の関係をいかに再定義するべきか。新たな価値原理とは、人間と社会をめぐる根底的思想とは、いかなるものか。再生の時代に実現されるべき社会像を、政策と理念とを結びつけ構想する。
目次
時間軸/歴史軸―私たちはどのような時代を生きているか(創造的定常経済システムの構想―資本主義・社会主義・エコロジーの交差)
空間軸―グローバル化とローカル化はどのような関係にあるか(グローバル化の先のローカル化―地域からの“離陸”と“着陸”(コミュニティとしての都市―コミュニティ感覚と空間構造 地域の「豊かさ」とは何だろうか))
原理軸―私たちは人間と社会をどのように理解したらよいか(進化と福祉社会―人間性とコミュニティの進化(はじめに―「人間についての探求」と「社会に関する構想」をつなぐ ケア/コミュニティの進化―人間社会の起源 ほか))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nishi
6
欠乏による貧困が起こっている市場経済の拡大局面では、倫理の外部化により、ある正しさという制約内における私利を追求する自由が全面的に肯定され、それが人々の共通善となる。一方で過剰による貧困の局面では「創造性」が多様に展開され、「存在そのものの価値」が求められる。2021/07/06
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
5
「社会保障制度とはそもそも何か」という問いを、人類の共同体の変遷史という視座から、人類学や脳科学の知見を踏まえて叙述。要約すると、人類は、狩猟採集社会の成立⇒農耕社会の成立⇒商業社会の成立、といった時代の転換期ごとに、その共同体を維持するような倫理を創出し、制度(あるいは慣習)として落とし込みながら生存してきたが、ことに市場経済の成立は、人類史の上でもっとも個のエントロピーが高い時代であるため「倫理の外部化」という形で社会保障制度を創出した。ところが、そのハードにソフトが追い付いていないのが今の現状だと。2021/01/18
Kentaro
5
ダイジェスト版からの要約 これまで、生産性とは労働生産性、つまり、少ない労働力で多くの生産を挙げることと考えられてきた。しかし現在の先進諸国では、構造的な生産過剰と慢性的なヒト余りが生じている。こうした時代には生産性の概念を労働生産性から環境効率性ないし資源生産性へ転換することが本質的な課題となる。これまで生産性が低い典型とされてきた介護や福祉、教育などの分野にとってもプラスになる。成長と拡大の時代ではなく、定常型に風土的、地理的多様性が尊重される創造的定常社会、創造的福祉社会といった社会像の構想が必要。2018/06/11
とみやん📖
5
経済成長が停滞した現代に、人類はどのような価値観を思考すべきか。この壮大なテーマに果敢に挑んでいる。時間軸、空間軸、原理軸と章立てしているが、原理軸は今ひとつぴんとこなかった。学術論文とエッセーをまぜたような感じで、終始、著者の仮説を著名な畑違いの学説をつまみ食い的に引用し、強引に立証している印象。そして、多様性、持続可能性といったありふれた言葉で収束する。創造的な主張、提案はみえず、ふーん、で終わる本。2018/01/12
かす
4
福祉について制度面だけではなく思想から考え直すという本。生産性の増大について。この本では資源に限りがあるという点が指摘されている。そのなかで拡大できる可能性があるものとして、本でも触れられているとおり人間の精神である。「暇」や「辛いこと」などマイナスに解釈されることを肯定的意味に捉えられるようになることができればそれは富が増えていることと同義になるのでは。この他にも様々なテーマが取り扱われている。この本をきっかけに自分の興味ある分野を掘り下げていくのもよいだろう。2019/03/26
-
- 電子書籍
- Ladies Collection v…
-
- 電子書籍
- プログラマのためのSQLグラフ原論 リ…