内容説明
余震のたびに、「どうぞお助けくださいませ」と観音様に拝んでおりました。観音様にお仕えしてきた立場から言いますと、大惨事が起きたいまこそ多くの人が自身の人生とこれからの時代を見つめ、生きることの意味を改めて捉え直したとき、他人事として聞いていた信仰が自分の人生を開拓した上での重要なものに見えてくるのではないかと思います。この本が皆様にとって、そうした機縁になればと願っております。――<本文より>
目次
第1章 庶民とともに歩まれる観音様(浅草寺の「聖」と「世俗」 観音信仰は大衆の信心 ほか)
第2章 焼け野原からの復興を念じて(焼け野原の中にも 拝めば救われる ほか)
第3章 浅草寺の詣り方(庶民が開いたお寺 水のような信心 ほか)
第4章 観音信仰から暮らしを見つめる(人間に生まれさせていただいた 人生は儚い ほか)
第5章 己を忘れて他を利する(是非を説く口を慎む 地蔵尊の功徳 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くみこ
7
浅草寺貫首様の優しい語り口で、浅草寺の歴史や観音様の教えについて、人のあるべき姿についてがわかりやすく説かれた本です。あの雷門が、松下幸之助氏の寄進によるものと大々的に伝わっていないのは、自分の名を出してくれるな、と松下氏が強く希望したからだそうですね。仁王門再建のホテルニューオータニ創業者大谷氏も同じ。小説の合間にこうした本を読むと、綺麗な空気をたくさん吸い込んだ気分になれるものですね。ありがたや。2016/10/03
Yoichi Taguchi
3
浅草寺貫首・清水谷氏:94歳まで生きた氏が92歳の時に発刊された本。日本人にとって仏教とはそうゆうものかと思わせる。信者だろうがなかろうが、歴史や日常を通じて仏教というよりも文化として根付いているもので、観音様や地蔵様などは身近な存在。信仰に厚いわけではないが、寺院を通った折に余裕があれば手を合わせてみよう。その際は願い事をするのではなく”今まで生かしてくれてありがとう、これからも宜しく”の方がいいのかな。2020/01/26