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内容説明
文芸批評家として最初の、揺るぎない立場を確立し、後の文学活動のあらゆる萌芽を含む『様々なる意匠』。人生観、ことに女性観、芸術論、社会批評などが、鋭く、渾然一体となって述べられた『Xへの手紙』。わが国に特有な私小説を見事に解剖した『私小説論』。その他、『一ツの脳髄』『女とポンキン』等の初期創作から始まって、中期以降戦後に至るまでの主要な論文、感想を収録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
zirou1984
32
再読。小林秀雄という批評家に付き纏う難解さのイメージは、彼が批評の対象にしてきたものの多くが戦前から戦後までの、高度経済成長によって喪われてきた文化であることが原因ではないだろうか。後期に行く程に文体が洗練され、明晰さが発揮されていく内容は時に驚く程言葉が透明に感じられていくのだ。本文でも批評家と詩人は言葉それ自体を扱うものとして同一であるとの旨があるのも理解できる。そして30当時の己の人生観について、直感と情熱を持って練り上げた「Xへの手紙」が持つ確信さには、完膚無きまでに言葉に殺されてしまったのだ。2014/01/05
yumiha
24
若い頃に4冊ほど小林秀雄を読んだ記憶があるのだが、本そのものを紛失。そして読み直してみたら、本の内容の記憶までもがすっかり紛失していたことが判明(泣)読み直してもやっぱりナンカイ。今回の発見は、短編小説『からくり』(S5年)の「電気ブラン」。モリミー作品で初めてと思っていたので、ビックリだった。また評論の方は、断言が多く、あいまいな逃げ道を書いていないことを発見した。しかもその断言が、各段落の最初の一文にあると、少し理解できたような気になれた。好きな一文を拾い上げることができても、論そのものは難解(泣)2016/05/03
かふ
20
「Xへの手紙」は、同時代に生きる仲間に宛てられ私信である。特に小林秀雄が嫉妬した中原中也にであろうか。小林秀雄が教科書的な論理の批評家であるよりは詩人になりたくてなれずにいる余計者と見れば共感する部分もあろう。その意味でXは読者になりうるのだ(それを受けて「新人Xへ」が読者に向けられて書かれる)。大切なのは何を感じるかである。「私小説論」はありきたりな私小説の流れを述べているのか。でも今さら私小説でもないと思うし、志賀直哉マンセーでも無かった。ゾラを自然主義文学と勘違いして白樺派と名乗るようなものである。2026/05/14
しゅん
18
小林秀雄は「私批評」の人と言われるが、実際のところ小林の批評文に「私」の体験が書かれることってそんなになくないか?「様々なる意匠」でいかなる批評も自意識から切り離せないことを指摘しただけで、書き方自体は客観的な観察に基づいた思弁を主調としている。むしろ「私」の晒さなさがズルいとすら思う。「おふぇりあ遺文」の女性一人称のハムレットパロディが上手くいってると全く思えないのも、例えば太宰のような「私」巧者との鮮やかな対照を示している。でも「政治と文学」のような、過去と今の自分との距離を測る戦後の文章は好き。2020/08/07
こうすけ
17
小説は飛ばさせていただきました。私小説論など、その後の批評家たちに与えた影響の大きさを感じさせる。2025/04/25
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