内容説明
表題のエッセイを「週刊文春」で連載中に、台湾上空で航空機事故に遭い、還らぬ人となった向田邦子。連載最後のエッセイとなった「クラシック」をはじめ、テレビドラマ脚本家デビューのきっかけを綴った話、妹と営んだ小料理屋「ままや」のてんやわんやの開店模様、大好きだった旅の思い出(ケニヤ、モロッコ、沖縄)など、未刊行の名エッセイをすべて収録した。日々の暮しを愛し、好奇心旺盛に生きた著者の溢れるような思いが、溌剌とした文章で紡がれている。
目次
女の人差し指(チャンバラ;蜘蛛の巣;昆布石鹸;動物ベル ほか)
テレビドラマ(ライター泣かせ;ホームドラマの嘘;テレビドラマの茶の間;名附け親 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おか
63
今回はこの作品集の中から「昆布石鹸」を読む。今年は公演予定が無いので ここで初心に戻り 朗読に挑戦する事になり 5名が其々の弱点を克服するべく 演出其々にテキストとして指定された。私は カギ括弧が有ると どうしてもそちらに意識がいって 色を付けて読みすぎる癖があるので カギ括弧の全くなく それでいて内容が面白くて ついつい色を付けたくなるこの作品を指定された。坦々と それでいて作者のワクワクや疑問や 思い出感を出せるか 勝負です(#^.^#)2018/01/06
優希
58
日常が見えるようなエッセイでした。日々を好み、好奇心の塊のように生きた向田さん。古き良き昭和とあふれそうな想いが詰まっています。2021/05/10
i-miya
53
2013.11.03(初読)向田邦子著。 2013.11.01 (向田邦子) S04生まれ、東京都。 実践女子専門学校国語科卒。 S56.08、航空機事故死。 (カバー) (1)ドラマ脚本家デビューのきっかけとなった話、(2)妹と小料理店「ままや」開店の話。 (3)旅の想い出、人形町からアフリカまで。 (解説=北川信=元日本テレビ専務) デビュー作、『ダイヤル110番』の頃。 S33。 警察の110番を広める目的の番組。 (本文) 台詞のうまさ。 2013/11/03
あきあかね
31
一時期、向田邦子さんのエッセイに熱中していた頃があった。煤煙で苦労した汽車旅や七輪で焼いた魚、ご不浄といった上品な言葉など、昭和の郷愁を誘う様々な舞台装置も魅力ではあるが、もっと普遍的なものー描かれる日々の生活の確かな手触り、食べ物や匂いがもたらす人の記憶、愛憎混じり合う家族への想い、仕事により得られるもの失うものなどーに惹かれていたような気がする。 このエッセイでは、『寺内貫太郎一家』をはじめ、テレビドラマの脚本の話が多く出てくる。「テレビは消える 消えるがテレビ」とやや自嘲気味に語るが、⇒2019/11/11
mazda
31
向田邦子さんのエッセイ集です。とても気持ちが和らぐというか、読んでいてほっこりするものが多いです。それでいて、戦前戦中の話になると、少し重厚感があるというか、現代の私たちにとってはっとするようなことも書いていたりします。1つ1つの話が短いので、気に行ったところを抜粋して読むのもいいかも知れません。2015/01/16