内容説明
「一瞬一瞬、宇宙の総体は消え続けているのであり、持続してあるかのようなものは観念の集合であって、人間が言語によって拵え上げた架空物なのである。過去は「ない」のであるから、私が死んだ「あと」ビッグバン以来の一五〇億年に及ぶ「客観的世界」が広がっているわけではない。(中略)私はいずれ死ぬであろう。そして、何も失わないであろう」(本文より)。過去もない。未来もない。哲学を突き詰めたとき仄見える、清潔であっけらかんとした世界を精密に描く。
目次
1 宇宙の全体は消え続けてきた
2 「客観的世界」という仮象
3 “いま”に染み込んでいる過去
4 世界に意味付与する「私」
5 根源的湧き出しとしての“いま”
6 私は死に、そして何も失わないだろう
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
22
過去や未来はない。この宇宙の何処を探してもない。ぼくやあなたの頭の中にもそんなものはない。人が創り上げたそうしたまやかしに騙されて安心するのではなく、ぼくは「いま ここに」しかいないということを骨の髄まで理解して存在していくということ。それこそが真のニヒリズム。明るいニヒリズム。時間論的なお話などは全く初めての状態で読むと難しいかもしれませんが、中島先生の書かれたいことの本質はわりと理解しやすい気がします。言いたいことを理解することとそれを受け入れることとの間には大きな隔たりがあるけれどね。2019/12/10
coaf
6
どういうニヒリズムかと思ったが、主には時間論だった。簡単な言葉で書いていてくれたので分かりやすかった。この本の時間論は非常に面白かった。後半で哲学用語が出てきたあたりから理解が怪しくなった。購入決定。2013/06/16
ichiro-k
6
タイトルと内容は無関係。老年になり、昔(過去)を思い出すことが多くなった。「未来」はどこにもなく、刻々と「いま」が現れ、次々と「過去」として消え去りどこにも保存されていない、という内容。自分なりの解釈は、「過去」とは個人に記憶されている「自分史」である。昔を思い出すということは、自分の記憶を手繰り寄せていることであり、生まれる前の体験したこともない遠い過去(歴史)を知っているつもりなのは、いまの自分に刷り込まれている文献や映像などの情報だからである。かなり以前、秩父でのトレッキングの帰りに「恐竜の足跡が残2011/06/06
lily
1
世界にあるのは、いま、いま、いまでしょ!その他は無だ。当たり前のことしか言っていない。2019/01/29
Darbytime
1
過去も未来も置いておくところ無いよという話。現在に過去を付与するものが私だとしたら、無我の境地とは付与しないことなのか付与した私を眺めることなのか。でも眺めると感じるのは自分あってこそだし。未来が何処かから来るわけではないと言うのはわかる。ただ、過去を蓄積する場所もないことは理屈として理解できるが、体感として理解できない。でも、体感として理解したら自分が理解したという過去を付与することになるからもうどうしたら良いんですか。専門的なところはよくわからなかったし、なんかよりカオスな世界に導かれた気がする。2018/07/09
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