内容説明
巨大産業に変貌しつつあるゲーム開発。かつては「日本のお家芸」とまでいわれたが、いまや国策としてゲーム産業を推し進めるカナダやアメリカに大きくおくれをとっている。巻き返しはなるのか。日本の天才ゲーム・クリエイターや北米のゲーム関連企業の最前線を追い、コンピュータ・サイエンスと連動するゲームの可能性と衝撃の未来像を探る。
目次
プロローグ 崩れゆくビジネスモデル
第1章 疾走するアメリカ
第2章 ニッポンの敗因
第3章 第三の勢力の台頭
第4章 復活を担う風雲児
第5章 日本を象徴するリアル
第6章 巨人と才人の握手
第7章 夢と現実の融合
第8章 進化を続けるゲームの行方
エピローグ 新たな才能が出現する可能性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
30
約10年前のNHKスペシャルシリーズの内容をまとめたもの。当時のゲーム開発の最前線を取材しているのだが、今や旧聞と言わざるを得ない。なぜなら、スマホの普及でソーシャルゲームが最盛期となり、当時とはもはや完全に様相が異なってしまったからだ。ゲーム業界の進化の速さを実感する。「脳波の技術を使えば、人間を堕落させるゲームを簡単につくることができる」のだという。VRやARがすでに現実化する中、私たちはどうゲームと付き合うべきなのかを、考えさせられた。2018/06/28
nbhd
18
頭がくらくらしている、めまいを誘う本だった。カナダ・モントリオールにある厳戒セキュリティのテストプレイ専門会社とか、現実と仮想の見分けがつかなくなる実験装置のある日本の研究所とか、めまぐるしく進化するゲームの現場を紹介した本。ゲームを言葉で説明してるから、どことなくSFなかんじ。圧倒的なグラフィックとクオリティ、選手全員が4番打者クラスで大作をつくる海外メーカー、職人による箱庭的作品でしのぎを削る日本メーカーみたいな対立軸が、ページをめくるモチベーションになっていく。くらくらしたせいで寒い風が心地よい。2017/01/21
白義
14
元が十年近く前のドキュメンタリーだから古びてはいるがゲーム史における一つの転換期のレポートとして秀逸。すなわち洋ゲーの台頭とそれに対する和ゲーの停滞の時期ということだ。基幹的な技術インフラに大資本を投資して、更に人材育成と教育も重視する海外ゲーム産業に対して、職人芸に依存しすぎた日本のゲームが後継を育て得なかったというゲームに限らない日本の会社の問題点がいつものごとく暴露されているにとどまらず、そこからの脱却を目論む二人のゲームクリエイターの経歴も詳細に描いている。またもう一つは未来のゲームについての展望2018/12/10
ブナ太郎
8
「世界ゲーム革命」まさにその名にふさわしい本だった。さまざまな知見に溢れ、もはやゲームはそれ単体では止まらない大きな可能性を秘めているということを教えてくれた。アメリカのゲーム市場は2007年を境に映画市場を抜いたという衝撃的な事実。FPSには専門の軍事アドバイザーがアドバイスを行い、脚本はハリウッド映画の人気脚本家を起用。いかにもアメリカらしく容赦がない。ゲーマーの平均年齢も40代というのだから驚きだ。後半は、ゲームクリエイター水口氏による様々な人々へのインタビュー集。これが一番おもしろかった。ゲームは2012/11/02
FFFT
8
北米ではゲームに対して新しい技術がどんどん開発され、研究・教育機関もしっかり作られている。日本では旧来のやり方でずっと来ている印象が強いのでこれは差がつくだろうなと思いました。戦場で戦うゲームに海兵隊員やCIAのアドバイスがあったり、脳波レベルでゲームの研究をしたりと気合が違う。新しいハード、技術、ビジネスモデルが開発され、消費者のライフスタイルの変化も相まって様々な展開を見せてくれそうなゲーム業界。今後も注目したいですね。2011/09/08