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内容説明
昭和三年六月四日早朝、満州を支配していた奉天派の大元帥・張作霖は、北京から奉天への帰路途上、乗車していた列車が爆破炎上して暗殺された。
満州事変のきっかけとなったこの事件は、戦後、本人の自白をもとに関東軍の高級参謀河本大作による犯行との説が定着していたが、近年この定説が覆されようとしている。
証拠、証言が多数あった河本犯行説は、なぜ破綻したのか。
暗躍するソ連特務機関の影。
長男・張学良周辺の不穏な動き。
発掘された新資料―真犯人はいったい誰なのか?昭和史の大きな謎に迫る。
目次
第1章 「河本大作首謀説」をめぐって(爆殺計画;現場検証;昭和天皇と田中義一首相)
第2章 「コミンテルン説」「張学良説」の根拠(クレムリンの極秘ファイル;張学良の謀略―爆薬は列車の天井に)
第3章 謎の解明―「河本首謀説」の絶対矛盾(関東軍爆破の疑問;昭和史の闇に決着)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内藤銀ねず
16
kindle unlimitedだったので。トンデモ本の棚に入れるのは惜しいとも思うけど(内容は面白かったので)、商売としては成功してるのかな。ケネディ暗殺の「魔法の銃弾」よろしく可能性の積み上げ。すでにその後のレール上を走ってる現在の日本が無罪になるわけでなし、下手に信じて「歴史修正主義者(死語?)」と言われてしまうのも損。こういう説もあるよ、くらいで、どうかひとつ。2025/03/01
はちこう
7
「中原の虹」に登場する張作霖があまりにもカッコ良すぎて、その実像に迫る本を探す中、本書を発見する。関東軍(主犯は河本大作)によって張作霖が暗殺されたとする通説を覆す、中々衝撃的な内容の本だった。この爆殺事件の1年前に、張学良が国民党に極秘入党していたことや、奉天軍の参謀長である楊宇霆を処刑したことなどからも、学良が暗殺の黒幕だった可能性は否定できないと感じた。はたして今後の研究で事件の解明が進むのか否か。蒼穹の昴シリーズを読み進める上でも、参考になる本だった。2022/05/23
めっかち
7
河本大作主犯説を全否定はできないが、「通説」以外の視座を提供してくれた。それは、当時から「爆破は列車内」と指摘されてたことや、ソ連側資料などからも納得である。ただ、河本大作主犯説も、私の中では捨てきれない。何より、彼自身が強く主犯と思い込んでいたように見える。今後の研究の進捗に期待したい。2020/07/03
マシンガン
4
浅田次郎『マンチュリアン・リポート』からの流れで本書購読。帯の「渡部昇一絶賛、中西輝政絶賛」の文言がまず興味を惹く。この事件は関東軍の犯行として歴史の授業でも習ってきたが、その定説に疑問を投げかけている。 関東軍河野大佐首謀説は冒頭で丁寧に復習し、次にソ連首謀説!、そしてなんと張作霖の息子の張学良関与説!!を唱えて読者を釘付け。最後に河野説の矛盾点も挙げ、自説の信ぴょう性を高め読者納得。ミステリーとしても楽しめる一冊だ。是非更なる研究の成果を期待したい。2015/06/16
はちめ
2
この本自体は妄想に基づいて書かれているが、河本大作の背後に謎があるのは間違いない。個人的な妄想としては満鉄当たりから資金とアイデアが調達されたのではないかと思っている。2013/03/10