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内容説明
歴史は史料に基づき描かれる-。「昭和天皇独白録」や「富田メモ」をはじめ、新たな史料の発掘は、歴史的事実の変更や確定をもたらす。なかでも「原敬日記」「高松宮日記」「真崎甚三郎日記」「佐藤榮作日記」など政治家、皇族、軍人が残した日記は貴重な史料であり、ここから歴史が創られてきた。本書は、明治維新期から現代に至る第一級の史料四十数点を取り上げ、紹介・解説し、その意義を説く。日本近現代史の入門書。
目次
序章 史料とは何か-日記を中心に
第1章 明治維新と近代-「英雄」たちの心の内
第2章 大正・昭和戦前期-政党政治への道
第3章 戦争の時代へ
第4章 昭和天皇の記録-終戦秘史
第5章 戦後政治と天皇-覆される歴史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禿童子
24
維新の元勲、大久保利通、木戸孝允といった大物から、有名な原敬日記、数えてみれば40数人の日記から明治、大正、昭和に至る政治の流れを読み解く重厚な新書。なかでも昭和天皇という近くて遠い存在をめぐって2つの章を割いている。これが面白い!A級戦犯合祀により天皇が靖国参拝をやめた肉声を記した「富田メモ」と、この発言が事実であったことを証明するクロスチェックの機能を果たす卜部侍従の日記など、歴史を実証するのに日記が重要であることを了解した。近現代史の新事実が日記から明らかになることを紹介した本書は一読の価値がある。2019/02/15
ほうすう
10
明治から昭和にかけて主に様々な人物の日記をの史料を紹介する本。それぞれの史料の紹介にとどまらずその日記の書き手に関しての解説もしてくれるので大変ありがたい。ちなみに一番印象が変わったのは植木枝盛だろうか。実際読むとなると難解かもしれぬがここに紹介されている史料にも触れてみたくなる。近現代だけでなく中世史などでもこういった史料紹介の書物が出てくれたら嬉しいのだが…、やはり難しいだろうか。2019/12/14
ロッキーのパパ
8
明治以降の歴史なら、公文書も整備されているし、マスコミの記録も残っているのに、なぜ今更新発見があるのかという疑問の答えが得られた。時代に関わった人たちが残した一次資料の重要性を思い知らされた。本書で取り上げられた日記でもまだ未公開のものがあり、今後も新事実が出てくると思うと楽しみ。この本を読むとつい自分も一次資料を読んでみようかなって気になるけど、日記って定型的な記述が多そうだから退屈かもしれない。やっぱり、学者の方々が研究された成果楽しむ方が気楽でいいな。2011/05/12
庄屋之者
3
近代の一次史料としては『原敬日記』や『木戸幸一日記』が有名であるが、この本ではそれ以外の史料の存在を確認できた。軍人の日記のように事実の羅列が多い史料がある一方で植木枝盛や矢部貞治のように女性関係まで記す史料もあり、一次史料の重要性だけでなく読み物としての面白みも知ることができた。2021/05/18
午睡
3
ドナルド・キーン氏によれば日本人の日記好きというのは世界でも稀らしいから、この本で紹介されている政治家や軍人、外交官たちが膨大な日記を残していてもなんの不思議もないのかもしれない。しかし、日記好きとされる国民性を割り引いても、これだけの多さは明治維新、日清日露戦争、大東亜戦争、太平洋戦争と激動が続いた時代の要請であったような気もする。一身にして二生を生きるような自覚を持つとき人は記録を残そうとするのかもしれない。自由民権家の植木枝盛の200回を超える性交渉の記録なども、そうした時代相から読めるのかも。2020/02/22