中公文庫<br> サウスポイント

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中公文庫
サウスポイント

  • ISBN:9784122054622

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内容説明

かつて初恋の少年に送った手紙の一節が、ハワイアンの調べに乗って耳に届いた。「ひとの人生を縫い上げる」キルト作家となった私は、その歌い手とともに、空と海と大地が接するハワイ島最南端の地〈サウスポイント〉を訪ねるが……。世界の果ての、奇跡の恋――楽園の島を舞台に、満ち溢れる生命の輝きと、男と女そして家族の絆を描く。デビュー20周年を飾る感動の長篇。[写真・潮 千穂]

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

197
ビッグアイランドの最南端、サウスポイント―そこは、かつて奇跡のようなことが起こった場所。主人公テトラの語る、珠彦とその周縁の人たちの物語。中心に位置するのは不在の幸彦。ばななさんにとっては思い入れの深い小説のようだが、全体の完成度にはやや難点も。何よりも双方の家族関係をそんなに特殊なものにする必要性が希薄だ。もっとも、ハワイらしい風の流れと空気感が横溢し、ウクレレの調べに乗って流れる時間のゆるやかさは、実に心地よい「ばななワールド」を読者に体験させてくれる。また、テトラのキルトも語りに確かさを添えている。2014/07/06

おしゃべりメガネ

153
『ハチ公の最後の恋人』の後日談のお話しです。続編といえば続編なのかもしれませんが、正直、つながりはそんなに深くはないように感じたので、本作から読み始めてもさほど影響は少ないかなと。しかし、相変わらず本作も「ばななワールド」真骨頂な内容です。人物から風景まで、とにかく「ばなな」さんにしか書くことのできない世界観がふんだんにちりばめられています。普通の作家さんなら書きそうにない有り得ない展開や、パンチのきいたキャラやセリフがたくさんつめこまれており、「ばななワールド」を思う存分、堪能させていただきました。2016/08/11

ミカママ

134
静かに涙を流しながら読みました。ときどき無性に読みたくなるんだよね、ハワイ本、特にハワイ島は長かったし。今思い起こしても、子育てと仕事に髪振り乱して、矢のように過ぎ去った日々だったことよなぁ。ハワイには長く住んだけど、結局ハワイアン音楽以外は何ひとつ身につけられなかったなとか、走馬灯ぐるぐる状態(笑)。自分語りしてしまいましたが、ハワイ島好きな人には絶対心に響く作品です。荒削りだけど、ハッピーになれます⭐️読んでみてください。2015/07/24

masa@レビューお休み中

94
恋することが切ないのか、恋自体が切ないのか。恋人が離れ離れになるから悲しいのか、恋がいつか終わることが悲しいのか…この物語を読んでいると、そういったことがすべて判然としなくなる。もしかしたらその曖昧として、優柔な感覚こそが正しいのかもしれない。大人になればなるほど、常識とか、世間体というものを意識してしまう。けれど、恋に常識というスパイスを入れてしまうことほど、愚かで面白みに欠ける行為はないって思うんだ。ふたりだけの想いがあって、ふたりだけの世界があるから恋愛をすることの意味があるんじゃないのかなぁ。2013/04/12

masa@レビューお休み中

67
【再読】小学生の恋。初恋の人。大抵の人は、叶わず、あっけなく終わってるはずだ。子どもの時の恋は思うようにいかない。初恋の人への想いは届かない。でも、テトラと珠彦の恋は叶ってしまう。出会った瞬間にすべてをわかり合ってしまう。とても素敵なことだけど、それはとてつもなく怖いことでもある。好きな者同士が、あっという間に理解し合って近づいてしまったら、それ以上の先がないからだ。だからこそ、互いが互いを純粋に求め合う必要があるのだろう。傷つくことを怖がらず、愛し続けること。純愛に勝るものはない。2017/11/20

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