内容説明
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智から無知へ、賢から愚へ、人間の普遍的な心の深層で悩み、非僧非俗のまま横ざまに庶民の暮らしのなかに入り、自己の思想を人々に伝えようと努めたその奇蹟の行跡を一次資料だけから辿り、日本思想史上空前の絶対平等思想と、死の意識を媒介にした尖鋭な実存思想の本質を始めて明らかにする画期的な親鸞理解の書。『歎異抄』語録全解付。
目次
1章 法然
2章 仏教と密教、および時代の社会相
3章 親鸞(女犯 流罪 帰洛 造悪無碍 唯円 横超 『教行信証』 蓮如と『歎異抄』 『歎異抄』中の親鸞語録 悪人正機と法然への訣別)
親鸞と道元と一遍、そして私―あとがきにかえて
感想・レビュー
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大先生
7
難しい。挫折しました。本題の「親鸞」に入るまでの法然や道元、時代背景について書かれた100頁だけで息切れします(苦笑)ところで、親鸞といえば悪人正機説が有名ですが、弟子の中に往生のためにわざとさまざまな悪事を犯す者が現れたそうです(汗)もちろん、親鸞は「治す薬があるからといって毒を好んで呑んではならない」と書いたそうですが、悪事をはたらくのは前世の因縁、宿業によるもの。阿弥陀仏の本願によって人々は宿業までも救われると説いたそうです(歎異抄)。どうやら私にも救われる余地がありそうですね。2023/08/15
S.Mori
6
かなり難しい本でした。一次資料として多くの古文が収録されています。この部分を飛ばしても読めると思うのですが、古文の勉強になると思い、意味を考えながら丁寧に読むようにしました。親鸞を神格化しないで、真の姿を描き出そうとするところに好感が持てます。親鸞は悲惨な時代を生き抜いた人物です。餓えや災害などでたくさんの人が命を落としました。その悲惨さから目をそらさずに本当に救いとは何かを考え続けた稀有な人物であることが、本書を読むことで分かります。2019/07/11
ニニギ
0
一次資料の引用がかなり多くて、長い部分はほとんど飛ばして読んだ。タントラ教の伝播の話とか面白かった。シルクロードと海の道だけじゃなくてスッテプロード経由の仏教の広がりもあって、アジアの民族の興亡の流れの中に仏教を感じられた。前は「インド→中国→日本」みたいなすごい単純な単純なイメージだった。 浄土教成立期の混乱を示すものとして『沙石集』の逸話が幾つか引用されていた。その中の千部の経を読んだ人を念仏門に入れる話が怖かった