内容説明
19世紀からアメリカに進出し、日本美術品を大量に販売した骨董商・山中商会。20世紀初には清朝崩壊で大量放出された中国美術の大オークションをニューヨークやロンドンで開くが、日米開戦で莫大な資産を失い、所蔵コレクションは全て売り払われる。歴史の荒波に揉まれて消えた、世界的美術商の知られざる六十年。
目次
琳派屏風の謎
第1部 古美術商、大阪から世界へ(「世界の山中」はなぜ消えたか;アメリカの美術ブームと日本美術品;ニューヨーク進出;ニューヨークからボストンへ)
第2部 「世界の山中」の繁栄(ロンドン支店開設へ;フリーアと美術商たち;日本美術から中国美術へ;ロックフェラー家と五番街進出;華やかな二〇年代、そして世界恐慌へ;戦争直前の文化外交と定次郎の死)
第3部 山中商会の「解体」(関税法違反捜査とロンドン支店の閉鎖;日米開戦直前の決定;開戦、財務省ライセンス下の営業;敵国資産管理人局による清算作業;閉店と最後の競売;第二次世界大戦の山中商会)
如来座像頭部
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
34
筆者はフェルメール解説でその力量に敬服していただけに、この本も楽しみにページをめくる。かつても今後もかような会社はないだろう・・とある、まさに。米に軸足の大半を置き、双方に巨大な金が動いた。ビジネスの先端を握った社員には「アメリカに東洋美術の入り口を開く」といった自負があったろう。現地での社員の大半は、戦後美術商となったようだ。前半は些か文字をなぞるだけに退屈さを否定できなかったが、後半は生々しい事実の連続で気持ちがざらつく。だが、現地での受け入れがよかったようで敵国での解体も「敬意あるそれだった」が救い2014/04/14
星落秋風五丈原
9
ヤマナカ&カンパニーとしてその名を轟かせたこの会社も、第二次大戦の荒波に呑み込まれて接収、清算を余儀なくされ、歴史の闇に消えて行くこととなる2011/06/12
とりもり
6
東洋美術の海外への普及に大きく貢献しながら、大戦という歴史の荒波に消えて行った山中商会の足跡を丹念に洗い出した一冊。「売り手」たる山中側に残る資料が少なく、「買い手 」たる美術館側や、国立公文書館に残る資料に丹念にアクセスしてその活動を浮き上がらせた著者の労力に頭が下がった。ノンフィクションと言うより、一つの研究論文と言えなくもないが、謎に満ちた「山中商会」という存在を明らかにするプロセスには、事実のみが持つ面白さが溢れていると思う。オススメ。★★★★★2014/04/20
うめけろ
6
戦前から戦後にかけて(戦後はほとんど閉店処理のようでしたが)美術商として世界を股にかけて活躍した山中商会の記録でしたが、本当に記録ばかりでちょっとガッカリしました。どういう作品が何ドルで売れたとか、少しくらいならいいとしても、そればっかりでは面白味に欠けました。この偉大な美術商の栄枯盛衰について、もっと物語的に色んなエピソードを盛り込んでほしかったなあ。2013/11/17
koji
6
読後感としては今一つ。著者は何を訴えたかのか。戦前に消えた名門美術商を米国国立公文書館に残された文献等をもとに徹底的に調べ上げた点は敬服に値するが、おそらく著者自身も資料の渉猟に明け暮れるうち、この本の主題を戦前の敵国資産管理人による解体清算過程に光を充てたことで満足してしまったか(厳しい言い方ですが)。今日本人が知るべきことは何か。ここから学ぶことは何か。そこを掘り下げて「山中商会」に光を充てて貰いたかったと思いました。山中の経営力、補佐する経営陣の忠誠心など経営物語であればと思うのは私だけでしょうか。2011/07/17
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