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内容説明
男爵家の一人娘に生まれ何不自由なく育ったジャンヌ。彼女にとって、人生は夢が次々と実現していくものであるはずだった。しかし、現実はジャンヌを翻弄し続ける。乳母妹だった女中のロザリが妊娠し、その相手が自分の夫であることを知った時、彼女は過酷な現実を生き始めた――。感情移入を抑えて、現実を美化せずにありのままを描く自然主義文学の真髄ともいえる傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
113
若いジャンヌが見つめる世界はとても瑞々しく、純粋な喜びに満ちていて羨ましく、思う。しかし、無垢で恭順に育ったジャンヌは人生の一端に触れ、やる事なす事が裏目に出て不幸に沈んでしまう。彼女の不幸の原因は、映画『ブルー・ジャスミン』の主人公のように自分の幸せを他人に依存してしまった事だ。ジュリアンは正直、早めに死んで良かったけど、ジャンヌの父親も息子もダメンズなのがなんともまあ・・・。しかし、狭量で狂信的な為、自分が悪いとは絶対に思わないトルビアック神父へ降りかかった事へガッツポーズするロザリ、いい人だな~。2018/06/30
えりか
60
海の煌めきをみては涙を流し、木漏れ日の輝きをみては涙を流す。繊細で純粋、受け身で感傷的なジャンヌは最愛の人達に裏切られ続け、絶望の淵に落ちる。一人潔白な人生を歩むことは辛かったはず。彼女の孤独は痛くて悔しい。人生に夢を持つことは悪いことではない。ただ、全ての夢が叶えられるわけでもない。未来に期待する。期待するから叶わなかった時に絶望する。あんまりだ。それでも期待せずにはいられないんだから。「人生は皆が思うほど、良いものでも悪いものでもない」最後の台詞に、だから悲しまなくていいんだよと、慰められた気がする。2016/09/22
みっぴー
53
訳が自分に合っていたようでスラスラ読めました。タイトルにある通り、貴族の娘ジャンヌの一生を描いた作品ですが、かなり悲惨な一生です。修道院を出るシーンから始まり、やがて恋をして結婚、母となり祖母となるジャンヌ。この当時は結婚が女性にとって唯一、そして全ての目標であり到達点でした。もし二十歳で結婚して結婚生活が破綻したのなら、残りの人生は諦めるしかありません。選択肢がほぼゼロに近い中で、ジャンヌはどうすれば幸せになれたのか…どこからやり直すべきか…既婚未婚未亡人、どの身分になっても悩みは絶えないものですね。2016/05/17
あふもん
51
おもしろかったです。息子がパリに行ったあたりからひきこまれるように読ませていただきました。いやはや自分の一生はどんなものになるのだろうか…2019/06/12
ひめありす@灯れ松明の火
36
幼にしては父母に従い、彼女の眼の前には無数の花に縁取られた幸福な景色が広がっているはずだった。嫁して夫に従い、沢山の不幸と苦労を知った。揺れる激情は嵐となって女を揺さぶり、雨に打たれた花はあっという間に萎れてしまった。老じては子に従いたかったが、従うべき子供は失踪しただ金の無心に来るばかり。小さな王様にしたがって埋めたはずの種はちっとも芽吹かず花は咲かなかった。でもほら、今空には美しい花の色。薔薇色が広がっている。朝が来るよ。貴女の為に。悲しみの後にはこんな美しい景色もあるから、人生そう悪かあないね。2012/02/21
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