講談社学術文庫<br> 満洲 マンチュリアの起源・植民・覇権

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講談社学術文庫
満洲 マンチュリアの起源・植民・覇権

  • 著者名:小峰和夫【著】
  • 価格 ¥1,265(本体¥1,150)
  • 講談社(2014/11発売)
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  • ISBN:9784062920384

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内容説明

ヌルハチの決起に始まり北京に都を置いた清朝にとって、満洲は聖なる「封禁の地」だった。しかし漢族の入植で満漢の一体化は進み、辛亥革命の後は日中米英露が覇権を争う。狩猟採集を生業とした女真族の故地は、いかにして「中国の一部」となり、「極東の火薬庫」と化したのか。「満珠」建国から「満洲国」崩壊へと至る、世界史の中のマンチュリア通史。(講談社学術文庫)

目次

はじめに
第一章 誕 生 清朝と満洲の由来
『韃靼漂流記』
一 明の満洲経略と女真族
女真族/朝貢貿易/女真社会の変動
二 女真族の統一と独立
満珠=満洲の登場/満珠から大金への発展/奴隷制から農奴制へ/明の滅亡と清の中華侵攻
第二章 封 禁 清朝の満洲保護主義
聖祖康熙帝の深謀
一 清の版図
中華および塞外の征服/征服王朝の統治原理
二 満洲の荒廃と再建
満洲の空洞化/遼東招民開墾政策/満洲の土地体系/軍政施行
三 満洲封禁政策
満洲封禁の精神/漢族の満洲移住/満洲封禁政策の展開
四 満華一体化の兆し
漢族移住増大の背景/満華貿易の成立
第三章 開 港 満洲の世界市場編入
『牛荘行見聞録』
一 ヨーロッパ人のアジア進出
香料と銀/「森の真珠」貂/茶と阿片/清国内乱
二 国際舞台への満洲の登場
ロシアの極東南下/営口開港/タタール=韃靼からマンチュリア=満洲へ
三 営口貿易の開始
初期営口貿易の状況/日満大豆貿易の夜明け
第四章 変 貌 漢族の植民と産業発達
パラディウスの見聞
一 漢族植民の進展
満洲封禁の終熄/開拓の前線拡張/蒙地の蚕食/開墾と漢族農民/満洲旗地制度の解体/小作関係の拡大/農業労働者
二 満洲の資源と物産
天産物──貂皮・人参・玉/森林鉱物資源──木材・金・石炭/他
三 満洲の交通と商業
都市の発達/交通事情/馬賊──特殊満洲的風物/商人ギルド──公議会/過炉銀制度/過炉銀制度の危機
第五章 覇 権 国際化と植民投資
ロシア人のアムール憧憬
一 満洲貿易の成長と再編
満洲貿易の諸画期/満洲貿易の飛躍と構造変化/外国商品の流入/満華貿易の行方/日満貿易の飛躍
二 ロシアの満洲経略
シベリア横断鉄道/東支鉄道着工と旅順・大連の租借/鉄道建設と移民の増加/他
終章 満洲の「消滅」、そして満洲国へ
満洲の「消滅」──中華への一体化/植民地化の進展──満鉄の登場/他
学術文庫版のあとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nagoyan

3
優。僕自身、どこでだったか「満洲(州)という地名はない」と教育された記憶がある。しかし、本書を読めば漢族の本拠地とは異なった満洲の独自の歴史を学ぶことができる。明末に明の満洲経略により却って勃興の機会を得た満州族が満洲国、大金国、大清帝国へと発展し、そのために却って父祖本貫の地が漢族の侵入に悩むようになる。しかし、満洲の社会的経済的発展はそのような漢族農民の侵入によるものでもあった。近代に入り、露日帝国主義の角逐の舞台ともなった。満洲の中華本土と異なった歴史・社会を客観的かつ浪漫豊かに描ききる。2011/04/08

壕野一廻

2
満州とは何だったのか。女真の地が中国との結びつきを強めていくプロセスが描かれている。意外だったのは、日本が大豆の搾油滓を肥料として大量に輸入していたこと。また、ロシアがシベリアへの食糧供給の点で満州に依存していたこと。 なんか昔に世界の利害が入り混じった地域程度の理解だった地域について解像度が上がったのがよかった。 中国国内の経済システムについては以前読んだ中国近代史とやや見解が異なるので比べながら読んだが、実際のところどう理解したら良いかはまだよくわかっていない。2022/01/15

ELW

1
 封禁政策の一方での流民、土地所有の実態など勉強になった。大豆が国際貿易市場に組み込まれら時期が印象的。『「満州帝国」がよくわかる本』を 読んでおいてよかった。2016/07/10

Mits

1
いわゆる「満洲」という地方の歴史について、明の末ごろから主に経済や産業の分野に着目して語られています。清の時代に満洲がどう扱われていたのかは知らなかったので、とても面白かったのだけど、「満洲国」の時代を描く「終章」があっさりしすぎてちょっと残念感も。まぁ、そこについては類書が沢山あるのでしょうけど。2011/04/03

うまのすけ

0
16世紀の女真族勃興期から20世紀の満州国時代まで、大河のような歴史絵巻が展開される。圍場や封禁地が設置され全土が旧ソ連の「閉鎖都市」状態だった満州が、大豆粕の登場と漢族の移民がきっかけとなって世界経済に巻き込まれる様子を描く。そういえば日本史Bの教科書にも出てくる大豆粕。肥料は歴史を変えることを実感。少し古い本(1991年)なので、清朝を世界帝国モンゴルの後継者とみなす近年の潮流の影響を受けておらず、その点はちょっと物足りない。2017/08/01

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