内容説明
ついに天下を取り、お市の忘れ形見・ちゃちゃ姫を手に入れた秀吉。彼女を籠絡すべく、秀吉は男女の秘戯を見せつける。老醜な権力者のあらん限りの欲望が明らかとなり…! 英雄・秀吉の真の姿を暴く山風版・太閤記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
271
上巻でおいしいところはほぼ描ききってしまっていただけに、下巻では、ひたすら老蒙した秀吉の姿ばかりが目について、読むスピードがやや低下。秀次や利休とのことを、もっと陰謀めいたかたちで広げてくれたら、より楽しくなった気がする。特に朝鮮出兵あたりは退屈。ラストで家康が心中独白しているように、人生を思うままに走りきったという見方からすれば、信長や家康、その他の誰よりも、秀吉は勝者といえるのかもしれない。その事実を、女性というわかりやすい欲望の対象を置いて提示したのが、この太閤記の際立った点といえる。2022/09/07
優希
48
天下を手にする秀吉。想いを寄せていた彼女に生き写しのちゃちゃ姫を手に入れ、切望の全てを果たしたように見えました。しかし、権力者となった故の欲望は消えることがないのが欲の象徴に思えます。正史の背後の秀吉の姿を知ったようです。2021/12/28
きょちょ
27
伊達政宗が恭順の意を示し、北条家を滅亡させることによって、秀吉の天下統一がなされる。 しかし、このころから彼は、単なる強欲なエロ爺いでしかなくなる。 民へのあまりにも不当な税・労役、そして朝鮮出兵や養子とした関白秀次を含む家のもの全員の惨殺など、狂気の沙汰である。 少し忍法的話が出てきたのは、逆に残念。 ★★★2019/04/11
Porco
22
賤ヶ岳まではギリギリ英雄譚で後は惨憺どころか無惨。 【畜生塚】で語られた「ただ「もてる男」への憎悪だけであった、そしてまた「もてる男を愛する女」への憎悪だった」というモノローグ。本作の秀吉像はこれに尽きる、要するに行動原理は「リア充爆発してやる」であり、太閤まで上り詰め手に全てを「もてるひと」にはなったが「もてる男」にはなれなかったコンプレックスこそが怪物秀吉の正体だ。 (1/2)2024/06/08
ken_sakura
19
通して、とても面白かった\( ˆoˆ )/下巻はとうとう市姫を失い、茶々では心充たされなかった秀吉の後半生。市姫の肘鉄をくらって、「天下も女も手にいれる」と独り言ちた秀吉。上だけ鎧かぶとをつけて、12歳の姫様(前田利家の娘)の処女を奪うのを手始めに、やりたい放題で余計に女性に嫌われる日々。賤ヶ岳の合戦までの抜群の学習能力と陽気に忍ぶ秀吉は市姫と共に死に、その後を天下人にしてやりたい様にやって生きた秀吉を最後に評する家康(山田風太郎)の述懐が良かった。2017/02/24
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