内容説明
自然や人とのつながりを忘れ、病院の中に死を遠ざけるうちに、日本人は死の全身的理解を失ってしまった。クオリティ・オブ・ライフ(QOL)の根幹をなすクオリティ・オブ・デス(QOD)の悪化をかえりみず、健康維持や抗加齢ブームにとらわれるのはなぜなのか……終末期医療に取り組みつづける医師が、在宅看取りの実際と脳科学の知見、哲学的考察を通して、人間として迎えるべき往生の意義をときあかす。
目次
家で死ぬ意味
大往生の回復
進行がん告知
医者と芸者
一人称のがん
在宅看取りの不安
作り話
「わたし」はどこに宿るのか
老いと「意味の世界」
野垂れ死にも悪くない
「意味の世界」を落ち着かす
ある地域医療の死
祈りとつながり
終末期胃腸医の見る「時」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rokoroko
8
2013年義父の看取りを考えていた時に読んでいた。今回は実母・・未だ元気だが体重が減り冬越せるかなと思い手に取ったらしい。義父の最後だと見切ったのは私。実母も同じ様に判断できるのか?むつかしい2018/11/08
calaf
7
高齢化社会になった日本にとって、「死」はどんどん身近になるもの...のはずが、それほど身近なものという気はしません。もちろん、核家族化が進み、死ぬのは病院というケースが大部分を占めるからというのはあるでしょう。でも、「死」は必ず誰もに公平に共通してやってきます。少なくとも、「死」を考えたことがないと、急に立ち会う事になるといろいろ戸惑うばかりでしょう。この本が、それに役立つかどうかは分かりませんが、少なくともこういう事に気づかせてくれる気がします。2013/01/07
rokoroko
5
水分をとらない義父を病院に連れ込み点滴で息を吹き返させてしまった。脱水していても結構幸せそうだった義父。本当に良いことしたか疑問だ。また色々読んで考えていこう2013/09/03
チエコ
1
痴呆症についていろいろ。死を隠すと、死への恐怖が高まる。怖いのは知らないから。2018/10/26
sanga
0
花が散るように静かに逝くことがすべての人の願いだと思う。私も両親を病院で看取った。「家に帰りたい、少しでもいいから帰りたい、頼むから1時間でも早くここから出してほしい」・・・今でも父の言葉が浮かんで何もできなかった自分に腹が立つ。2015/08/21