内容説明
〈野間文芸新人賞作家が贈る数理的恋愛小説集〉これは多分、「僕たちの初恋の物語」。それともやはり、「初恋の不可能性を巡る物語」──恋愛小説の最先端を駆ける全4篇を収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっとる◎
42
円城塔を読むと頭は疲れるが精神は少し落ち着く(笑)。完璧な恋愛小説。そう書いたそこには確かに紛れもなく「完璧な恋愛小説」、がある。他者に見られることで変換に変換を重ねる私という存在。地平が定められ沈んでいるらしきが重さとなり、浮かんでいるらしきが軽さとなる。太初に言ありき。これに拠らぬものはないということ。全てを充足する楽園が全てを充足するが故に地獄に似ること。他人の痛みは私のじゃないからその痛みは何とも取り換え得ること。当たり前だけど虚ろなそれらを数学的な方程式とか法則やらの世界に展開できるってすごい。2018/02/12
絹恵
28
定性検査の陰性と陽性のような明確な答えを好むのに対して、対話においては真正面に投げ込んだり投げ込まれたりすることを苦手とする彼らの愛しい理詰めの恋愛論でした。全ては照れ隠しであり、その照れ隠しを隠すために、彼らの専門分野で告げる純情な想いだと思いました。でもたまには感情論で幸福論を唱えてみなよ。2014/06/03
まめこ
24
★★★☆☆土斑猫、槍形吸虫すごいなぁ…恋愛小説を読んでまさか寄生虫についての感想を残すことになるとは。難解じゃなければ円城作品にあらず。しかし、これが恋愛小説ならば取説やお経さえ恋愛小説といっても許されるんじゃなかろうか。それくらい理解の及ばない次元で繰り広げられる出会いと別れなのに、なぜか切なく甘酸っぱい読後感。便器に嵌まり込みたい願望なんかあるかい!熱出そう(笑)。2023/03/08
∃.狂茶党
21
円城塔は数学的に書いていると想像される。 この書かれてるものが、設問であるのか、演算であるのか、解答であるのかはよくわからないが、作者自身による解読ないしは設計図というものが想定される。 それは描き始める前に存在したのか、書き上げてのちも存在するのかはわからないが、いずれかの時点には存在したと思う。 であるなら、円城塔作品は常にヴァリアントをふくんでいるはず。 もしくは、ヴァリアントの統合が小説として結晶するのか。 ボルヘスやエーコの衒学的メタフィクションを多分に意識している。 意外と文系ど真ん中。 2023/05/09
ももかさん
21
なんとか読みました~。ただホント読んだだけ。全く意味が分からない!これを好きだといって貸してくれた同僚はどういう考えなのだろう。頭がいいのは間違いないが。全く理解できないので読むというのは苦行でした。本の冒頭、レフラー球ってどういうものなのかと思ってググったら……。え~!この本は何だろうかと理解不能に陥りました。数理的恋愛小説って書いてあるが、恋愛小説?う~ん。頭のいい人には面白いのかな。お薦めできません!2016/07/05