内容説明
今や日本の大学は「冬の時代」、私大の四割が定員を割る中、大学の多くは市場原理を導入し、過剰な実学志向と規模拡大化に向かう。教養とは? 知とは? まさに大学の原点に立ち返って考える教育再生論。
※本書は『狼少年のパラドクス ウチダ式教育再生論』(二〇〇七年二月朝日新聞社刊)に新対談(第11章)を加えて改題したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
368
15,6年前の出版だが、その後の大学をめぐる情勢にはそれほど大きな変化は見られなかったようだ。もちろん、それはけっしていいことではないのだけれど。大学の置かれた位置、および大学行政を語る内田樹氏。今回は何時もの自信に溢れた調子に混じって何だか愚痴っぽい言説も。とりわけFD委員長に祭り上げられてのあたりがそうだ。気持ちはよくわかるので、時にはこんな内田氏も一興か。おっしゃっていることは、ことごとくその通りである。大手私大が全国制覇する勢いだが、その地方から大学が無くなれば、まさにゴーストタウンであり⇒2022/11/06
マエダ
59
当時の日比谷高校は非常に魅力的である。大学に関する問題はシビアで答えが難しい、あっても出来ないパラドックスを孕んでいる。2019/01/12
おさむ
43
学力低下、定員割れ、画一教育、大学の合併統合。大学教育の課題は昔からあまり変わっていない気がします。この20年間、日本は少子化と経済の停滞という外部環境が同じだからなのか。いや、その中で大学進学率は伸びているから状況はより深刻になっているんでしょう。内田センセイも当事者だからか、論考にキレがないし、ブレてますね。大学教育にある程度の「あそび」は必要だろうし、国が音頭をとって全面介入してくるのは如何なものか、と思います。日本に限らず大学をどうするかは、先進国共通の課題なようで、試行錯誤が続きそうですね。2016/11/04
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
34
内田樹5冊目。大学教育にまつわるエッセイ、というより個人的なボヤキ。半分以上流し読み。読む価値がないとは思わないが、読者の立場を相当選ぶという点において万人受けはしなさそう。たまに良いことも書いてあるけど、おそらく他の本にもっと詳細に書いてるんだろう。/と、ぼんやり思いながら読み進めていたら、10章及び11章が本書の主張の要諦であり、それは立場を超えた包括的かつ原理的なものであり、1〜9章はそこへ導くための布石だったことに気付く。なるほど、なかなか練られた構成だ。2018/08/21
めっし
24
内田先生の本を大先輩に紹介してもらってからというもの、ひたすら読みまくり、勝手に門下生になりました。講義をまさに学生に戻って受けている気分になります。知性的で刺激的。内田先生に一度お会いしできたらな、とよく思います。「なんだかまだよく分からないけど、この人はきっととんでもなくすごい人に違いない」という気持ちで、これまで身近な人、歴史上の人とたくさんの先達に弟子入りしてきましたが、こうやってまた新たに憧れの対象をもてるのは幸せなことです。次は『教育論』の講座に突入します。2014/01/27