内容説明
世界中見渡しても、こんなに優雅な文明を維持しながら、戦争や殺戮より平和な経済競争が優位を占める近代市民社会が成立するまで生き延びた国民は、ほかにはいない。ところが、これだけ幸福な星のもとに生まれた日本人が、自分たちはどんなに幸せな歴史を生きてきたのかということをほとんど知らない。皮肉なことに、おそらく世界中の知識人の中で日本の知識人がいちばん、ヨーロッパ文明こそ善(よ)き文明であり、義(ただ)しき文明であるというデマ宣伝を信じこまされ、ヨーロッパの文物に対する抜きがたい劣等感にさいなまれている。おそらく、一度もヨーロッパ諸国の植民地にされたことがなく、ヨーロッパ文明の中からいいものだけを自分たちの意志で選択的に取り入れてきたからこそのヨーロッパ崇拝なのだろう。だが、もうそろそろ真相に気がつくべき時期だ(本書「はじめに」からの引用)。呪われたヨーロッパの歴史をひもとき、「幸せな日本史」を描く。
目次
序章 ギリシアが特殊なのか、日本が特殊なのか?
第1章 なぜ日本には馬車がなかったのだろうか?
第2章 日本の都市は海に漂う剥き身の二枚貝
第3章 公園がなかったからこそ、森殺しもしなかった日本
第4章 塔の文化と寝床の文化
第5章 悪魔も異端も生まなかった生ぬるい宗教風土
第6章 革命が革命にならない、いい加減な政治風土
第7章 重商主義がはやらない愚直な経済風土
第8章 鎖国概念のコペルニクス的転換を!
第9章 不買運動が盛り上がらないのは日本の消費者が弱いから?
終章 だれに何を感謝すべきか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mimm
3
著者様の震災後の日本への経済評価を改めて見たくなりました。賛否はあるかもしれないけど、ばっさばっさ切り捨てていくような文章は、胸をすくようで面白かったです。日本に生まれて、日本人で本当に良かった。あと宗教対立のあまりの残酷さにびっくりです。2011/10/15
mazu
2
ここんとこ元気のない日本に贈るエールと解した。文章もポップでおもしろい。内容も深くとても勉強になるんだけど、感動がなかった。思うに、小説でいうプロットに配慮がなく、話言葉のように思いが先走っていたからだと思う。落語のように話の構成がしっかりしていると感動があった作品になったような気がする。2011/06/26
Book・CaFe
1
日本という国がヨーロッパ等に比べたらとてもいい国だということを認識させられた。著者の軽妙な毒舌笑えた。「花づな列島の恵みを言祝ぐ」この言葉の流れとても好き。日本に生まれてよかった〜!2011/09/19
たかっち
1
自由平和富の平等分配金を今後も守らねば。2011/06/02