内容説明
寛政の改革から爛熟の化政文化へ――御三卿の一橋家から思いがけず将軍となり、53人もの子をなし、孝心篤く実父治済(はるさだ)と自身に官位を望んだ家斉。政治の実権を握っていた松平定信を追い落とし、老中首座となった水野忠成(ただあきら)とともに舵を切ったインフレ政策の先見性と思わぬ陥穽(かんせい)。目から鱗が落ちる歴史小説。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糜竺(びじく)
34
江戸幕府第11代将軍徳川家斉は在職期間が50年と、歴代将軍の中で最長記録を持っているほどなのに、意外と家斉やその時代を扱った小説が無く、また作者は直木賞作家の佐藤雅美氏だったので、彼の作品は以前読んで良かったので購入しました!有名な寛政の改革の松平定信や、天保の改革の水野忠邦は生真面目過ぎて窮屈で世は不景気になり、逆に田沼意次の再来と言われた老中の水野忠成(主人公の一人)は、実は行動には常に細かな配慮があり、通貨改鋳により財政再建を成し遂げたと作者は評価し、目から鱗が落ちる作品でした。読んで良かったです!2014/03/10
かず
4
会社で11代将軍と呼ばれている。子供は2人しかいないのに?読み始めて家斉の祖母の名字が自分と同じであることにビックリした。出身地もいっしょとは。もしかして?!2020/05/31
桑畑みの吉
4
徳川幕府約270年の歴史の中で将軍在位50年、儲けた子が53名にもなる11代将軍家斉。在位期間の割には歴史的に影の薄い将軍である。600ページもある本書でも家斉の生涯はそこそこに、50年以上に渡る幕閣たちの権力闘争が多彩なエピソードを通じて描かれている。中でも松平定信(寛政の改革)や水野忠邦(天保の改革)に挟まれて比較的無名だと思う水野忠成の功績にスポットライトを当てている点が興味深かった。数えた訳ではないが100名以上の登場人物、その複雑な人間関係からサクサクと読める内容ではなかった。2020/04/19
がんちゃん
4
みんな、よく読めるなあ。途中で挫折!2015/04/25
yukioninaite
3
世の中、何百年たってもさほど変わらずおんなじようなことを繰り返している、そんな気がする読了感です。2017/02/15