内容説明
坂本龍馬が西郷隆盛と歴史的対面を果たしていた幕末、若き侍たちが荒れ狂う波濤の海を命をかけて渡った。薩摩藩の命で西を目指したのは俊英15人と秘密使節4人の19人。海外列強の前に日本の将来を按じた薩摩藩は、新しい時代を担う者を育てるべく彼らを海外に派遣した。海外渡航禁止の時代、まさにその行為は命がけであった。著者渾身の傑作感動巨編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
64
生麦事件、薩英戦争、そして薩摩の敗北を機に英との国力の差を見せられ、外国渡航禁止の鎖国時代に薩摩は藩をあげて英に留学生を派遣したという話。渡航中すでに占領国であるアジアの先進的技術に驚き、占領されている人達を日本国民と重ね合わせ憂い、刀一本気力だけで「攘夷」と叫んでいる者達が何たる愚かで無知なのか!と思い知る。そして龍動にたどり着いたが、これより2年も先に長州人が留学していた事実に薩摩留学生は驚く。禁を冒してまでの留学。この後日本の将来を考えて幕府を倒し、これらの藩の者達が活躍するのも当然のように思える。2016/08/15
コーリー
3
幕末、薩摩藩が秘密裏に英国に送り込んだ15人の留学生と秘密使節4人の留学行を描く群像小説。鹿児島の維新ふるさと館で、この物語の映像作品を見たことをきっかけに原作を手に取った。短編の映像作品では描ききれなかった、登場人物それぞれの人となりや、英国にたどり着くまでの旅路などがより詳しく書かれてあり、面白く読むことができた。英国への旅立ち前の「学問ちゅう矢をつがえて、薩摩魂ちゅう刀で戦ってくっとじゃ」という長沢の言葉が印象的。2020/01/06
sere
2
彼らのロンドン留学のことを書いた小説かと思いきや、ほぼ航海記で驚いた。 ロンドンに着くまでの航路、その間のスチューデントの心境の変化などが細やかで興味深い。 世界地図を脇に置きながら、ロンドンに到着してからはロンドンの地図を見ながら読んだ。ロンドンが変わっていないのがすごい。 映画「長州ファイブ」も併せて観るとより時代の雰囲気がつかめて面白いかも。2013/10/12
nyaboko
2
イギリスに密航で留学した19人の留学生+アルファたちの、主に航行と長州藩士らとの会合までを書いた本。さすがに全員に焦点をあてるわけにはいかず、五代友厚や畠山義成などの数名を中心に物語は進みます。史実に沿っている割には読みやすいので、興味ある方にはおすすめ。
どら母 学校図書館を考える
2
初めて、西洋に出会った目で、その感動を味わえた。2011/10/16