内容説明
「68歳は閑である。バァさんが何をしようと注目する人は居ない。淋しい? 冗談ではない」――がんで余命2年を宣告された著者が、「楽しくて仕方ない」日々の暮らしをつづる超痛快エッセイ。人生をめぐる名言がゴロゴロ転がっています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
89
韓流ドラマにはまった日々。笑えた笑えた。母と同じではないか!春川のナミソム行きましたよ。母は涙を流してた。で、オプションツアーのマイクロバスで一緒になったおばあさんと手なんかつないじゃって。ヨン様の力は偉大でした。他人には役にたたない日々も自分にとっては陶酔の毎日。後で思うと「なんであんなに熱狂したのかわからない」のだけれど。麻雀の日々も良いなぁ。キライな女はバッサリ切って、こんな風に言われたら立つ瀬ないわ~ 読んでるこちらは面白いけど。決して上品とは言えないけれど粗野でも卑しくもない。洋子さん好きです。2016/06/16
tu-bo@散歩カメラ修行中
47
久々の佐野洋子さんのエッセイ。伝法な、佐野さんの独特の口語調文体で、老化、世情の変化、病気のこと、友達、家族のことが綴られている。独特のリズムのある文体は、ある種の諦観を持って迫ってくるし、佐野さんの声が聞こえてくるような錯覚を覚える。良くも悪くも一寸の迷いのない物言いは、相変わらず、清々しい。やはり、佐野洋子は、傑物だったなぁと思います。<(_ _)>2017/06/18
ito
41
佐野洋子さんの晩年の独り言。最終章に向かって、キレ味がどんどん鋭くなってゆく。病気との闘いの日々かと思ったら、そんな悲惨さはなく自由そのもの。だけど老いることは切なくて淋しくて悲しい。生きることの本質をズバッと言いきる至言の数々。それにしても、佐野さんはよく怒っている。復興大臣や電車で怒っている高齢の方を想い出した。その年齢になったら怒ることはやめられないのかもしれないな、と思いながら読んだ。2017/05/05
ホークス
37
佐野洋子さんが晩年7年間に感じたことが書かれている。次第に死に対する意識が強くなっていくのだが、不思議と暗さがないというか、身の回りの諸々に怒ったり嘆いたり忙しい。実際そういうものかもしれないが、過去や見栄に影響される自分を意外と覚めた目で見ている。長い年月を生きること自体が重い荷物であると同時に、慰めでもあることを感じた。突然韓流ドラマにハマって連日見続けた後、同じく突然見なくなってしまうエピソードが出てくる。理屈では割り切れない魅力が語られるのだが、人間の普遍的な病理に迫っている様で興味深かった。2016/01/03
Shoko
34
病気、物忘れ、怒りっぽくなった等々、心身の不調が全編にわたって書かれている、著者 晩年のエッセイ。読んでいるとメランコリックな気分になるので、少しずつ、他の本も読みながら読んでいました。あとがきで酒井順子さんが書かれているように、「自分でごはんを作って食べたくなる」のがよく分かる。洋子さんは野菜はエライと言って、ポトフにしたり、スープにしたりする。手を抜きがちな朝食を、ちゃんと作って食べさせなくては!と思わされました。すべてに共感できるわけではないのだけれど、最後まで貫き通した姿はやはり格好良かったです。2018/07/29