内容説明
「ちょんまげぷりん」作者が描く平均年齢世界最高齢(?)のアマオケ交響曲!
老人ばかりで構成された平均年齢おそらく世界最高齢のアマ・オーケストラ「梅が丘交響楽団」(略称・梅響)に、ひとりの高校教師・中島が間違って入り込んでしまったところから物語は始まります。
彼は、全く演奏など論外のはずの土下手くそな「オケ老人」たちのなかで勿論一番若く、力も備わっていると目され、いきなり指揮者になってくれと皆から懇願されます。
その後、彼が本当に門を叩きたかった同じ町にある人気のアマオケ「梅が丘フィル」(略称・梅フィル)との確執、梅フィルの怜悧で完璧主義のコンマス・大沢が熱望するロシアの人気指揮者・ゴルゴンスキーの来日騒動などを経て、日本・ロシアの国家機密の情報漏洩にまで話は大きく展開していきます!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
131
初めて読む作家さん、主人公の勘違いで入ったアマチュアオーケストラのドタバタとスパイ事件が平行して進み始めは戸惑いましたが、ページが進につれ見事にからみ合って、平均年齢80歳の演奏も大盛況で終わり全てが丸く収まりほんわかとさせられ楽しく読むことができました。 2015/12/20
ちょこまーぶる
117
音楽好きにはお勧め本の一冊ですね。老人たちの音楽を純粋に楽しんでいる姿は人の心を打ったし、スパイの殺人計画までも思いとどめることになるのだから、音楽の力は素晴らしいものだと改めて感じました。また、指揮棒を振っている時の指揮者の感情というか音からの情景の表現は、若干のだめの千秋君ぽいけどワクワクしました。ただ、スパイの話を絡めないで、単にオケだけの話でも十分だと思うし、坂下先生がマエストロと一緒になってしまう結末は悲し過ぎますね。2013/03/11
trazom
107
アマチュア・オーケストラを題材にしたこういう小説は珍しいかもしれない。音楽に関わる姿勢(情熱か技術か、協奏か競争か)、年老いた人間の生き様、衰退する個人商店と大規模店舗などのいろんな悲哀が盛り込まれていて、涙あり笑いありの楽しい小説だった。ユーモア小説のはずなのに、練習で「○プルトだけ!」と指揮者から厳しく指名される場面などは、主人公と同様の落ちこぼれ奏者である自分が重なって、笑えない。著者自身がファゴット奏者とのことで、「アマオケあるある」のような話題も豊富で、楽しくて心が温かくなる幸せな読書だった。2021/11/18
つぼ
102
老人たちの一生懸命な姿に惹かれた。ストーリーも王道、心地よい読了感。 自分も夢中になれるものが欲しいと思った!2016/11/27
ヘビメタおやじ
100
面白かったです。音楽を扱った作品でハズレはめったにありませんね。音楽自体に喜びがあるからでしょう。老人オーケストラに入団して、音楽の本質を知り成長していく主人公の姿が丁寧に語られています。ラストシーンはよく考えられていると思います。但し、スパイのサイド・ストーリーは必要だったのか、少し疑問です。2017/03/28