内容説明
日本クラシック界で独自の評論を展開する宇野功芳。マーラーの寂寥感に魅せられた死生観、マタチッチや朝比奈隆を見いだした芸術への追求心、誰もが評価するカラヤンへの批判-。その直截な筆致の原点を若き日の批評から探り、宇野批評の魅力に迫る。
目次
まえがき
序章 宇野批評の位置
1 一冊の書物
2 登場時の社会状況
3 宇野批評の変遷
4 宇野批評の提起
5 宇野批評の課題
第1章 人と批評
1 宇野批評の特色
2 宇野批評の基軸
3 宇野の死生観・芸術観
第2章 作曲家論
1 モーツァルト
2 ベートーヴェン
3 シューベルト
4 ブラームス
5 ブルックナー
6 マーラー
7 シベリウス
第3章 演奏家論
1 指揮者
ワルター
メンゲルベルク
フルトヴェングラー
モントゥー
クナッパーツブッシュ
シューリヒト
クレンペラー
ベーム
マタチッチ
ムラヴィンスキー
カラヤン
バーンスタイン
朝比奈 隆
2 ピアニスト
バックハウス
リリー・クラウス
ハイドシェック
3 ヴァイオリニスト
チョン
音楽人生五十年を語る――宇野功芳インタビュー
引用・参考文献
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
takashi1982
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文化勲章を受章した吉田秀和が「音楽評論」というジャンルを確立したパイオニアにして、その滲み出るような教養と格調高い文章で読者を魅了するA級グルメだとすると、宇野は良い意味で「究極の」B級グルメのような評論家であろう。しかし、クナッパーツブッシュや朝比奈隆、ハイドシェックなど宇野の存在なくして日本でこれほど浸透しなかったことは間違いない。それで言えば徹頭徹尾「ゴーイングマイウェイ」の評論家である。本書はそうした宇野の音楽観や評論観を掴もうという試みだ。ただし、もっと資料の扱いに緻密であればな、と思う。2011/05/08




