内容説明
本書は茂木氏がキャスターをつとめたNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で大きな反響を呼びアンコール放映にもなった熱血弁護士の実録手記12話である。倒産阻止のために全国を奔走し、日夜、金融機関と戦う村松弁護士はこうこたえる。「企業救済は海難救命のようなもの。溺れし者を救うのになんの理由もいらない。あきらめたらそこで終わり。必要なのは信念と使命感、大きな情と少しの努力だけ。それが私の流儀であり、「天国からのメッセージ」でもある」――(村松謙一)。自らの愛娘を亡くしている村松弁護士には、人命と引き替えにしてまで貸し付け金の回収に走る金融機関が理解できないし、許せない。そんな思いは以下の言葉に表れている。「あるゾンビ企業がある。私が関与して10年が経ち、いまだゾンビの域を出ないが、いまでもかろうじて生きている。しかし、小学校6年生だったその従業員の子どもは今春、無事大学を卒業し、かけがえのない青春時代を過ごせた。ゾンビ企業を生かしてきた意味がそこにある。私の企業救済は「人間の救済」「生への救済」を目的とし、「事業再生」はその副次的結果に過ぎない。あくまで人間の心の救済を成し遂げたい。世間からゾンビ企業と評されようと、そこには人間たちが生きている。誰しも平穏に生き抜く権利を有している。だからこそ、企業を救済する意味がある。膿は私が吸い取ろう」。本書は道半ばにして亡くなった経営者、そして筆者自身の亡き娘へのレクイエムでもある。
目次
第1部 天国からのプレゼント―敗者復活(K社長が命に代えて守りたかったもの―老舗ビジネスホテルを再生に導いた天国からのメッセージ;「経済合理性」よりも大切なものは何か―全国初の旅館再生ファンドで蘇った落合楼;建物ではなくそこで営まれてきた人生を―製造業の再生で「工場」をどう見るか ほか)
第2部 不合理な反対―弁護士としての正義とは(四面楚歌、頼みの綱さえ切れかけて…―一度はすべての銀行から見放された製氷会社の蘇生;不可解な基準なんて要らない―求められるのは債権者と債務者双方の譲歩と調和;まず求められるべきは「回収」より「再生」―品性なき回収に苦しめられた老舗メーカー ほか)
第3部 共に目指す先には―義と情と慈悲(情と利と社会正義の共有―会社再建を実現させる要素とは何か;遅れし企業を見捨てずに―関係者の善意のスクラムで建設関連会社を生き返らせる;空から吹いたフォローの風―あきらめない誠実な対応が修羅場から脱出させる)
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