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内容説明
三島のライフワーク『豊饒の海』。完成作とは大きく異なる最終巻のプランから、何が見えてくるのか――。唯識思想を中心に、自死の意味と戦後日本の時空間を再考する意欲作。
目次
第1章 幸魂の小説―『豊饒の海』の構想
第2章 唯識とは何か
第3章 救済の理念としての輪廻
第4章 世界は存在する!
第5章 光明の空に赴く
第6章 虚無と救済の闘争
第7章 神々の黄昏
第8章 五つの観点から―「第四巻plan」ノート再読
第9章 もう一つの『豊饒の海』
第10章 虚無の極北の小説
エピローグ―さらに、もう一つの『豊饒の海』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
11
残りすくない連休中に4冊も読めへんわ!、、ということで、本編を読む前に解説本を手にとってしまった愚か者です。「あんな終わり方を、おれは認めんぞ!」という状態から、徐々に受容へと変わっていくプロセスが、かつてのエヴァの解説本(の一部)を見るようであった。。 2019/05/05
Kemumu
8
三島研究者が、三島の遺作「豊穣の海」で書かれなかった救済の結末を考察する本。三島は唯識の手法を借りて、天皇-英霊の存在で戦後の断絶を埋めようとした。それは岩戸景気に躍る空虚な時代を救済しようという壮大な夢であると同時に、病弱で徴兵を免れ東京大空襲を経験した三島自身の救いでもあった。今から見れば、三島は「戦後」に囚われたように映る。三島から「戦後」を引いてみれば、天皇以外の様々な解があり得そうではある。三島が物質主義的な世界に命を賭して異議を唱えたこと、その問題意識はいまでも色褪せないように感じた。2024/10/01
belle
8
三島由紀夫の小説の中では「春の雪」から始まる『豊饒の海』四部作が好きだ。三島が遺した創作ノートをつぶさに検討し、推理を深めるのを面白く読んだ。唯識と輪廻。虚無。その先を考える。近い日にまた『豊饒の海』を読む予感がする。2021/03/24
非実在の構想
6
三島由紀夫が己の実存についての問題意識と時代の空気によって豊饒の海を書いていたことを知る。唯識も実存についての問題と結び付いていたためであり信仰を有していたのではない。三島はなんで成唯識論ではなく摂大乗論に依ったのだろうか。有相と無相の差異を気にした節もなさそうだし。2020/01/05
イタロー
2
紹介されている仏教書籍の多くは、国立国会図書館遠隔サービスで読めるようになっている。ありがたや、ありがたや。2022/06/06