内容説明
渋沢栄一が、論語の精神に基づくビジネスマンの処し方をテーマごとにまとめた談話集。『論語と算盤』よりも内容がわかりやすく、ビジネスに対する渋沢の才気が横溢した1冊。原著『青淵百話』から57話を精選。
目次
主義(天命論 人生観 ほか)<br/>覚悟(米櫃演説 商業の真意義 ほか)<br/>立志(就職難善後策 地方繁栄策 ほか)<br/>修養(貯蓄と貯蓄機関 交際の心得 ほか)<br/>処世(服従と反抗 独立自営 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえぽん
10
渋沢史料館で入手したが、近時の経営者の自伝とは異なり、国家から家庭まで扱い、天から見て正しい姿を追求する渋沢の客観的人生観が貫かれた明治末期の人生論。企業家に個人のみならず国家社会を利する事業を求め、明治初期に比べて元気がなく無気力な若者を叱咤する姿は、大蔵省時代に三日三晩一睡もせず事務章程を作成した強靭な体力と、自らの力で一見逆境のような状況を順境にしてきた人格のなせる技だろう。企業活動を規律する各法制が整備され、鉄道国有化や煙草専売化が進む中、実業界の地位向上のために一生を尽くした渋沢翁の言葉が重い。2023/07/16
Ponyo
4
新紙幣のデザインが発表され、昨年末に渋沢栄一史料館を訪れたのをきっかけに、年末年始に選んだ一冊。渋沢栄一の思想が滔々と語られており、自然襟を正して修得に努めたものの、なんと自分が未熟で小さく思えることか。自己の利より国家社会の利を念頭に置き、自己研鑽を絶やさず、常に謙虚に、徳を積んで人格を磨き続ける。自己を振返りつつ、意識していきたいものです。慎重になりすぎて若者の元気がないと語っているのが、現代に重なるようで面白く感じた。時に思い切ってチャレンジできる教育をしていかなければ。大人にも言えることだけれど。2021/01/03
xtz
4
古典風の序文に戸惑いましたが、本文は現代文に近かったので何とか読むことができました。 仕事の一線を退いてからの著書とのことですが、なかなか新鮮です。 論語を交えての国家観などは自分にとってとても難解でしたが、読書法など身近な話題も多く、とても参考になりました。 2011/09/03
耳目之学(不定期更新中)
4
『青淵百話』の内から57話を抜き出した抄本です。若者向けに書かれた生き方の書です。本多静六の著作で絶賛されている通り、渋沢さんが人格者であることは間違いないようです。ただ、「俺はできた人間だ」というような思いが渋沢さんにあるのか、鼻につくような箇所が多々あります。「私も至らない人間だが、一緒に頑張ろう」とか「私も若いころ同じ失敗をした」という感じで語りかければ、より読者の心に響くと思うのですが。その点で、常に「自分は至らない人間だが、あえて忠告する」という態度の新渡戸稲造や本多静六の著作には劣るかも。2011/05/25
DEAN SAITO@1年100冊
3
いい面ばかりが取りざたされる渋沢翁も「俺は徹夜で激務に耐えたぞマウント」はやっちゃっているので、やっぱりどの時代も「前時代のオッサン」は信用できない。2023/10/31