内容説明
ライト兄弟はどうして大空を飛べたのか。それを可能にしたものは、勇気と主体的な制御思想だった。空が不安定なものであることを受け入れ、過度な安定に身を置かず、自らが操縦桿を握ることで安定を生み出すのだと。それはわれわれの人生に重なる発想ではないか――。現代社会を生きる人々に航空工学の泰斗が贈る不安定な時代を生き抜く逆転の発想。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サク
31
『子供は親の鏡』という言葉ある。ライト兄弟の父は読書家で、母は数学が得意で図面の書き方も教えている。幼い頃の両親からの影響は大きい。彼らの偉業の達成の背景には多くの困難があった。私のお気に入りの絵本『おおきなあな』が浮かぶ。ウィルバーの大怪我、母の死、リリエンタールのグライダーでの墜落死。彼らの前進を阻もうとする『おおきなあな』が数多くあった。その『あな』からはい上がらせ、乗り越えさせたのは、家族の支えそのものだった。大きな発明や新しい発見の陰には常に家族の支えがあった。私も娘にとって最高の支えでありたい2015/03/15
mitya
5
前半の飛行機の歴史は面白かった。飛行機開発にかける様々な人物伝は興味深かった。著者が精神安定を説かれているのが印象的だった。後半は物理的な話が難しくて、なかなか読み進められなかった。 飛行機自体に安定を求めるのではなく、空が不安定なものだと受け入れ、操縦することで 安定を生み出すというライト兄弟の発想は歴史のターニングポイントだったようだ。人生も同様に、不安定な時代を生き抜くには自らが操縦していくしかない。2018/08/17
χ
3
飛行にちなんだ力学を考え方に応用する面白い試み。過度な安定に身を置かず操縦することで安定を生み出す等説得力がある。ライト兄弟の飛行はなるべくしてなった偉業だがその後の兄弟の墜落調の人生が痛々しい。奢れる者は久からずを地でいく2015/09/20
ヒカル
3
誰しも安定を求めるものだと思うが、安定したモノに乗っかってもうまくいくとは限らない。不安定さを何とか制御することで良い結果が出ることもある。融通の利かない安定性よりも柔軟な不安定が適していることもあるという話は目から鱗でした。そこに気づいたライト兄弟はスゴい。物理的な現象を人間の性格に当て嵌める試みも興味深いです。様々な示唆を含んだ名著だと思います。#前に書いた感想が気に入らなかったので大幅に書き直しちゃいました。スイマセン(^^;>ナイスをくださった方2011/02/22
NekoApple
3
『不安定からの発想』/講談社学術文庫/★★★★☆/ライト兄弟までの航空技術史を述べるとともに、ライト兄弟が目指した「安定的な飛行を得るために不安定な機体を作る」というエピソードから、私たちの生活に応用できるものを考える。/http://bit.ly/gr1KEc 2010/12/26




