内容説明
本書は、昭和63年3月に発刊されたエッセイ『素顔の安岡正篤』の新版である。発刊にあたり、構成等大幅な見直しをはかり、加筆修正を施した。「こども論語塾」講師として現在活躍中の著者だが、多くの子どもたちと「論語」を通じて触れ合い、心を通わせるなかで、心の奥底にある祖父の存在感は、日増しに大きくなっているようだ。祖父なら、いまどう答えただろう、どう指導しただろう、と考えるのは、当然といえば当然であろう。エッセイの題材となる、祖父・安岡正篤は、昭和の歴代首相の指南役とまで云われ、政財界の多くのリーダーたちの思想・哲学形成に多大な影響を及ぼした大碩学である。いまも多くのファンがいる。しかし、孫娘との日常生活は予想以上に「普通」であり、その文章からは明治時代以来の古き良き日本の姿・風景が見え隠れする。孫娘として接してきた著者にしか書けない本書の存在は、現在の安岡ファンにとっても、貴重な存在となるはずだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とみやん📖
7
文字通り、一家族として、孫の視点から見つめた、哲人安岡正篤の姿が綴られている。 厳格なのかと思いきや、威厳を感じさせるものの一度たりとも怒ったことがないとの証言に驚き。また、子や孫への教育にもさほど頓着しない点も意外。自己へ厳しい反面、家族を愛していたことや、寂しがり屋の一面も垣間見える。相撲と時代劇、神田の天野屋の甘酒と日本橋室町の砂場の蕎麦が好きというのも、身近に感じさせるエピソード。2018/06/17
アイマール
1
・君子は人の美を成し、悪を成さず。小人は是に反す ・何事も寸陰を惜しむ ・人物は単なる知識ではない。胆識というものができなければならない。 ・若い時期に理想の情熱を喚起するような人物に私淑する ・人間に大事なものは情緒である ・躾け、習慣が大事2022/07/03