内容説明
遺伝子組換え作物から再生医療まで、暮らしに深く関わる科学技術の問題にどう向き合うか。哲学、政治学など文系のアプローチを用いて科学を見つめれば、サイエンスの「不確実性」や、テクノロジーに埋め込まれた「政治性」が見えてくる。科学技術と社会がいかに深く作用しあっているかを解き明かし、専門家と素人の知性を架橋するSTS(Science,TechnologyandSociety,科学技術社会論)入門の決定版。
目次
第1章 輝かしく陰鬱な1970年代という曲がり角
第2章「統治」から「ガバナンス」へ
第3章 科学は「完全無欠」か
第4章 科学技術と社会のディープな関係
第5章 科学の不確実性とどう付き合うか
第6章 知ること、つながること
第7章 知を力にするために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
16
極めて丁寧な科学社会論の入門書だが、背景には「科学者による一方的な上からの啓蒙の不可能性」という時代認識が強い感がある。科学が夢から不安へと変わった時代で、市民と科学の専門知の間に信頼を築くということ。そんな上も下もない科学コミュニケーションのあり方を考えるために、例えば知識の不確実性や中立性と政治性との絡み合いなど、基礎的な部分を書き、読者が行動するためのヒントとしている。一人一人の心がけが大切ですなどという「一人一人主義」を批判し、常に行動を社会的アクションに繋げるよう説く鋭さも冴え、気づきが多い一冊2015/10/24
樋口佳之
13
こころを忘れた科学には幸せ求める夢がない/ニセ科学がなぜ信じられてしまうのかという問題は、「科学的な思考ができない」「科学リテラシーが足りない」というようなことだけではなく、現代が(科学を除いて)あらゆる権威が力を失った「社会の底が抜けてしまった時代」(宮台真司『日本の難点』、幻冬舎新書、2009年)であるということの問題としても考えたほうがよいように思われる。2016/11/20
hiyu
7
STSという学問が非常に興味深かった。「おわりに」を読むと著者の心情をよく理解できる。科学が人間に合わせているのか、それともその逆か問われると悩むだろう。振り子のように揺れ幅が大きいものだろうか、と漠然とした回答になるかもしれない。同時に、一般人だから、素人だからという理由で科学に目を背けても詮無き事というのは良くわかる。どうあがいても逃れられないのだから。2019/03/14
imagine
6
「科学なしでは解けないが、科学だけでは解けない問題」に向き合うための、科学技術社会論(STS)なる分野があることを初めて知った。関心を持っていた兵器開発や軍事利用については触れられいないものの、遺伝子組み換え食品や「緑の革命」の暗部についてなど、身近なテーマが扱われていて興味深かった。本の構成も良く、ありがちな各自の意識を高めるという結び方ではなく、個人がどのように社会変革にかかわるかについて具体的な提案がなされている。2016/12/12
テキィ
6
NHKの出演は緊張していたんだなぁと。見返しに記載された著者近影のリラックスした写真を見て思う。コミュニケーションはたいへんだな。2010/12/05
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