内容説明
電子書籍ブームは12年前から始まっていた。繰り返される「電子書籍元年」への軌跡とは。出版、印刷、図書館、そしてマスメディア…メディアの未来は過去を知らずして語れない。既視感あふれる現在の状況を、過去の軌跡から電子出版の構図を明らかにし、本の未来について考えることにしよう。
目次
Webの拡大と出版―1999年1月?2000年12月(電子読書端末にデジタル紙魚は付くか?;デジタル入稿から出版までの流れを妨げるものは ほか)
コンテンツとオンデマンド―2001年1月?2002年12月(20世紀末の本の話題 21世紀の本のかたち;デジタルコンテンツの複製に見る教育機関での著作権 ほか)
ケータイ文化とグーグルの台頭―2003年1月?2005年12月(読んでもらえるだけで本望か?著作権の対価と美徳;コンテンツポータルの道―アマゾンで古本が好調 ほか)
Webの進化とケータイ小説―2006年1月?2007年12月(本のデジタルばら売り―アマゾン「なか見!検索」;ケータイ読書のスタイルと読書専用端末の限界 ほか)
電子書籍の再興隆―2008年1月?2010年現在(ソニーリーダーに続くアマゾンで電子書籍端末再浮上か;電子書籍端末の市場背景―ソニーリーダーとキンドル ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みしま
1
卒論用。資料の中で一番読んでておもしろかったかも。大学の教科書の値段についての学生のやりとりとか。実際の出来事を織り交ぜていて、なるほどと思う。まだ紙の本という“パッケージ”に対価を払う人がいる一方で、高いお金を払っても電子データがほしいという人(職業)もいる。米国の大学では、必要なデータだけをカスタマイズして自分の教科書を作ることができる。この本を読んで、本とは情報なんだなーと。それをどう活用するかの手段を広げる1つが電子化なのかな。2011/02/12
siomin
0
90年代から2010年代初頭までの電子出版の出来事をまとめたものですが,毎年毎年電子出版元年と言われつづけており,この分野に大きな進歩がないことがわかります。例えば音楽業界はitunesなどに席巻され街のCD店は淘汰されたが,書店も減ったとはいえそこまででもない。日本では紙の書籍への愛着が根強いのか,それとも大資本が本気で乗り出すほど電子書籍に魅力がないということなのか。中国は紙の消費量が増えて紙不足なので,電子書籍の導入が真剣に行われているというくだりが印象的です。 2017/11/10
tako
0
相当開いて再読。5年か。この間に私も電子書籍を使いまくるようになったが、世間の予測はあてにならない中、ここはかなりいい線をついているのは間違いない。なお数年前の印刷学会の講演ではこれをもっとぶっちゃけた話になるので刺激的だった2016/04/23
poefan
0
この道の目利きによる鮮やかな『史記』時流に流されない確かな目。2010/09/01




