内容説明
哀しい事実だが、犯罪者のほとんどは反省しない。監獄法の改正後、「自由」になった刑務所では、今日も受刑者たちの笑い声が響いている。裁判では頭を垂れるも内輪では「次は捕まらないよ」とうそぶく彼らを前に、何をすれば良いのか。犯罪者を熟知する著者は、彼ら自身を「死」と向き合わせるために「執行猶予付き死刑」を導入せよ、と説く。現役の無期懲役囚が塀の内側から放つ、圧倒的にリアルな量刑論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
94
本書は無期懲役囚の著者が書いた一冊。本当にこの人が人を殺したのかと思うような論理的に書かれた文章だった。で服役囚の実情がよくわかってよかった。確かに死刑は必要だと思う。著者の事例をもっと詳しく知りたくなった。2013/03/14
zero1
35
二人を殺して無期懲役となった著者が、死刑と終身刑について述べた一冊。彼によると、ほとんどの囚人は反省しない。「運が悪い」と思っていることが多いという。終身刑については批判的で死に向き合うからこそ人は反省すると述べている。冤罪に関する考察や裁判員へのアドバイスもしており、興味深く読める。拘置所の中で著者は死刑囚と実際に話をしており、意見には妙に説得力がある。著者は読書家で頭脳明晰。論理的な思考は驚くばかりだ。実はこの著者は実在せず、優秀な刑務官が書いているのではないかと疑ってしまうほど。2018/11/12
James Hayashi
32
本名不詳の現役無期懲役囚の著者、10年著。例えば30年間服役し150万なりの金を持ってシャバに戻っても、仕事の保証はなく、知り合い家族もなく、目標もない人間の扱いに困るのが社会であろう。本人も少なくとも50歳越え、金が無くなれば再び犯罪に手を染めることが分かっているだろう。施設も限られたスペースであり終身刑などに刑法が変われば、国家の財政は更に苦しくなる。かといって死刑を簡単に行うことは以ての外。妻帯肉食禁止の坊主(日本にはない?)として生涯償っていく事はどうだろう?刑務所暮らしの著者が出会った 続く→2019/08/09
金吾
31
無期懲役囚である著者が書いているだけに服役者の考えとかはそうなのだろうなと思ってしまいます。服役者で反省しているものはあまりいないという話は著者の書きっぷりをみともありうると思いましたし、刑務所が居心地がいいと犯罪の抑止にならないという話や終身刑はヤバイという話はそりゃそうだと思いました。2021/05/28
うさうさ
28
2件の殺人を犯し無期懲役囚として服役中の著者から見た刑務所内や服役囚の実情と、司法制度への提案。 何となく想像していた事より遥かに呆然とする実態だった。 被害者の命があまりにも軽すぎる。 説得力のある内容なので、司法に携わる人間も読むべきだと思う。2017/11/01