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内容説明
急増するひきこもりや新型うつ病、何でも他人のせいにするクレーマー、覚醒剤や合成麻薬などの依存症…。筆者が最近の精神科臨床で感じている3つの特徴的な傾向の背景には、同じ病理が横たわる。「こうありたい」という自己愛的イメージと現実の自分のギャップが大きすぎ、ありのままの自分を受け入れられないのだ。精神分析でいう「対象喪失」が機能しなくなっている現状を分析。喪失を受けとめ真の再生を果たす処方箋を示す。【光文社新書】
目次
第1章 「打たれ弱い」という病(不登校は誰にでも起こりうる、という認識 ひきこもりの長期化 ほか)<br/>第2章 一億総「他責的」社会(モンスターペアレントは「他責」の象徴 ベテラン教師も疲れ果てる ほか)<br/>第3章 依存症―自己愛の底上げ(マイケル・ジャクソン―「大きな子ども」の典型 失われた子ども時代 ほか)<br/>第4章 大人になるってどういうこと?―対象喪失とは何か(最大の対象喪失である「自らの死」 キューブラー・ロスの「死の五段階」説 ほか)<br/>第5章 子どもを子どものままにしないために(処方箋)(「~しない生き方」を実行するのは難しい 問題点に「気づき」、構造を理解する ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒデミン@もも
38
なるほどなぁと感心する部分もあり、著者の思い込みが激しいなぁと疑問符の部分もあり。けがをさせない教育『カーリングペアレント』は自覚あり。清原選手の薬物依存も片田さんが診断したら典型的な自己愛の底上げなのかな。最後にあった処方箋。転んで失敗した時①他人のせいばかりにしない②敗因を分析する③自分で起き上がる それができないからまた転んじゃうだろうけど。2016/06/17
Emperor
24
打たれ弱い若者、他責的な人々、依存する人々を分析。カーリングペアレントという言葉を初めて知る。スポーツのカーリングに例えて、子どもの前のあらゆる障害を取り除き、かえって子どもの成長の機会を奪う親。多いと思うな、これ。2017/02/10
けんちゃん
16
現代社会の抱える成熟拒否という問題をタイムリーな話題を折り込み、掘り下げています。精神科医である筆者の見方には、なるほどとうなづけるところが多いです。多くの参考文献が紹介、引用されていて、それぞれに興味を引かれるのですが、あまりの多用に、筆者本人の言わんとすることが弱いな、この本を読まなくても引用文献を読めばいいかな…と思ってしまいます。ただ、文献が巻末にまとめられているわけではないので、やっぱり全部読まなくちゃダメでした。2011/05/13
あこ
15
著者は精神科医。「打たれ弱さ」「他責的傾向」「依存症」という三つの問題をとらえる方法として、成熟における「対象喪失」という側面に着目して、問題解決の糸口となる切り口を提示。自己愛的イメージと現実の自分とのギャップを受け入れられないためだと。内容に同じことの繰り返しが多いのが残念。結局のところわかったようなわからないような。また時間をおいて再読してみよう。2017/04/23
生ハム
11
「成熟」し、理想の自分を否定することが恐ろしい人たちの話。「成熟拒否」というキーワードがかなり印象的です。 自分自身がまさにこれだなぁという実感があります。 ピーターパン症候群ではないけれども、 未成熟だと、「自分がまだ完成系ではない」「本当の自分は、こんなのではない」 と思えることが出来てしまう、んですよね。自分の理想があり、 理想と異なる現実の自分があり。 そんな自分を認めたくないから、いつまでたってもアイデンティティが固定されない。 「自分はこんな存在だ」と認めず、直視せず。痛い指摘でした。2014/04/02