内容説明
「子どもが小さいから、留学は無理。教員控え室でぼんやりと掲示板を見ていたら、ちょうど夕日に照らされた場所に、奨学生募集の案内が貼られていた。ドイツ学術交流会。自分にはもはやチャンスはないと思っていた留学。その案内を見てみたら、『31歳まで応募できる』と。『あれ、これならまだ…?』。不意に、『留学』の2文字が現実感を伴って迫ってきた」。『朗読者』訳者、早大教授・松永美穂の初エッセイ集。
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目次
1 さんぽみち(ヘロヘロの一夕に 十年パスポート 君は誰?故郷はどこ? ほか)
2 日々のことと、おもいで(無計画な大学院生 日の当たる掲示板 子連れ・おばあちゃん連れ留学 ほか)
3 ほんだな(ぶつ切りセンテンスの威力。 「読む」から「聴く」文学へ―ライプツィヒの書籍見本市を訪ねて 逃げてゆく愛、追いかけてくる歴史 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゆき
4
読メでみかけて筆者のことよく知らずに手に取ってみたけど、まさかの「朗読者」の訳者だったとは。高校のころに挫折したので再挑戦してみよう。最近読んだ多和田葉子氏の修道院話も出てきたりして、嬉しいどっきり。2017/08/04
ZEPPELIN
4
勝手に米原万里さんのようなエッセイかと想像していたら、全く違っていた。文学者・翻訳者としての苦労よりも、自分がどんな人生を辿ってきたのか、どのようにドイツという国と触れあっているのかということの説明が多く、専門的な堅苦しさはない。それどころか、学生結婚・出産をした上に東大大学院の博士課程を留年なしって、もしかして物凄い人物なんだろうか?こういうエピソードを聞くと、やはり「母は強し」は本当だなと思う。メジャーな言語でもマイナーな言語でも、もっとこの分野の方々のお話を伺ってみたい2015/01/08
tmk
4
ドイツ文学の研究者で翻訳家のエッセイ集でした。「誤解でございます」のあとは「散会でございます」ネタばれですが、それはほんの一部のことなのでお許しを。2010/09/20
タムタム
3
やわらかい女性的な雰囲気ながら、先生らしさや、何かに立ち向かうような闘う姿勢なども垣間見え、これから夢をかなえていこうという人にオススメできる本。2013/06/09
なめこ
2
おかしくって、かわいくって、息抜きのつもりが一気に読みとおしてしまった。タイトルの元ネタになっているアナウンス(「五階でございます」)、が流れるエレベーターには、昨日も乗ったばかりだったし、随所に登場する著者の「同僚」に、心当たりがあったりして、おもわず笑ってしまったりもしつつ、このしたしみやすい語り口にふれながら、ドイツ語圏の文学の作家や、作品を知ることができるのは、とても良かった。2017/05/09