内容説明
山深き秋田で、足は悪いが誰よりも美しい箕を作る若者・弥平。初めての行商では1枚も売れず。なんとか商いのコツを掴んだ弥平は勇躍、新天地の関東平野へ足を延ばすが、途方もない壁にぶち当たる。それは箕作りへの理不尽な差別。誇り高き職人がなぜこんな目に……。そして、弥平は1人の少女に恋をした。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
22
弥平は、蓑をつくって売る人。当たり前の話だが現代ではナイロン製の雨合羽が普及したため蓑を売る人も買う人もおらず、つくる人もいない。世の中の技術革新がすすんだことで消えていった道具とか仕事があり、蓑というのもそのひとつ。蓑づくりという仕事がやがて消え去り、資本論的にいうと弥平も自由な労働者としておそらくは仕事を求めて都会にでも出ることになるのだろうか。さて、弥平の蓑づくりと蓑売りの話としてすすんでいくのだが、後半部分では部落差別問題へと展開する。差別問題はシリアスなのでこういう中途半端な取り上げ方には疑問。2016/01/17
いちろ(1969aMAN改め)
10
熊谷氏のふた昔前の東北をベースにした物語。箕を作り、行商をする弥平の物語。初めて知る差別のことなど得るものがありました。箕を蓑と勘違いしていて、なんだか硬そうな蓑だな、なんて、赤面モノです。アレは箕というものなのだと学習。kindleにて読了。kindleのアカウントを親父と共有し、拝借して読んだもの。スマホで本を読んでみたが、結構便利かも。古い機種なので電池の持ちにはやや不満はあるものの。人に貸すことが出来ないという問題はあるけれど、家族間であれば問題なく共有できるな。読みたい本を買わせる話術が大事だw2014/03/17
いっこう
9
久々に再読。熊谷達也さんの素朴な表現大好き。主人公の弥平の実直さが良かった。箕、サンカ、秋田弁。2024/07/13
いが栗坊主
4
読了。東北秋田の方言がなんともいい感じで、文章でもなんとなく意味合いが伝わってくるのがおもしろかった。「邂逅の森」と同じような展開かと期待しましたが、ちょっと迫力不足やな~。理不尽な部落差別にイラつきつつ、ラストもちょっと寂しいな~。。2015/02/02
小音
4
熊谷達也は二冊目ですが、この本も好みでした。面白かったです。2013/04/15
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