内容説明
〈種のアポトーシス〉の蔓延により、関東湾の男女別自治区に隔離された感染者は、人を模して造られた人工妖精(フィギュア)と生活している。その一体である揚羽(あげは)は、死んだ人工妖精の心を読む力を使い、自警団(イエロー)の曽田陽介と共に連続殺人犯“傘持ち(アンブレラ)”を追っていた。被害者の全員が子宮を持つ男性という不可解な事件は、自治区の存亡を左右する謀略へと進展し、その渦中で揚羽は身に余る決断を迫られる――苛烈なるヒューマノイド共生SF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
49
タイトルから連想するより、はるかにスケールが大きく、入り組んだストーリになっています。伏線をはりめぐらせたミステリ仕立てのプロットに、エッジの効いたキャラクターが活躍する満足度の高い作品です。ヒトならざるものの苦悩を描くにおいて、ありがちな甘ったるさに陥ることがありません。クールさを保ちつつ悲哀を謳いあげているのが、本作品の素晴らしいところですね。広い年代に読まれてしかるべです。2016/07/25
くろり - しろくろりちよ
45
人類に<種のアポトーシス>が起こる近未来。異性間の接触で発病することから、人類を模して造られた人工知能…妖精。最低の五等級の烙印を押された揚羽が追う連続殺人事件。無条件に人を愛し尽くすように作られた妖精の異常。ただ愛し愛されたいと願ったはずの人類と妖精たちが辿る道。ヒューマノイドの存在意義、共生の可能性。微妙な均衡の上に成り立つ都市は宇宙から知らされた「終末の予言」を回避できるのか。無地の形で生まれた五等級の妖精の齎す純粋な苦悩と愛情。人類の行く先の梶を切る壮大な構想にまで練り上げられた見事な一作。2013/01/26
おかむー
44
結論からいえば面白かったが、全3章のうち2章で『傘持ち』の仕組みが明かされるまではそれなりに厳しい。後半で明かされる真の設定や伏線の回収ですごく満足はいくのだけれど、脱線な描写にやたら力が入っているところ、キャラが個性的というより奇抜に寄り過ぎ、文章の頭の形を繰り返す頻度が高すぎたりと面白みを相殺してしまう引っかかりが多い。序盤にハードボイルドな感触だったものがハンパにラノベ風に方向転換するのもかなり違和感。なにより登場人物全員が自虐と自己否定に酔いすぎなのは不快といっていいレベル。『可もなし不可もなし』2014/06/03
とくけんちょ
43
ライトな作品であって、読めば読むほどライトじゃない。しっかりと楽しませてくれるSFです。性差や性のパートナーがフィギュアであるなど、ちょっと重たいところもありつつ、ストーリーの筋はしっかりと通っていて、続きが気になる展開。ブレードランナーみたく、近未来なんだけど、殺人という血が通った事件を扱い、タイトルや装丁とは、また違った印象。再読するには訳がある。良 2025/02/10
いりあ
43
籘真千歳のスワロウテイルシリーズの第1弾。実は第2巻から先に読んでしまいました。第2巻を読んでいたので世界観等は把握しやすかったです。内容は思ったよりハードでタイトルと表紙絵に騙されると痛い目にあいます。80年代に流行したサイバーパンクを、最近のライトノベルというフォーマットに落とし込んだ感じの作品です。でも、一般的なラノベよりは情報量が多いです。SFなのですが、途中に散りばめられている伏線もある程度きちんと回収されるので、ミステリーとしてもきちんとしてます。ラストはハッピーエンドなのかな?2013/06/26
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