内容説明
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世界規模で普及している柔道と、いまや総合格闘技に欠かせない柔術は、いつ・どのように世界に飛び出し、各国でどう受け容れられていったのか。イギリス・フランス・ドイツでの柔術・柔道の人気、ロシアのサンボや柔道強国グルジア、アメリカに渡ったヤマトナデシコ、ブラジリアン柔術の秘話などを紹介して、日本武道のダイナミズムを描く。
目次
はじめに 坂上康博
第1章 柔術vs.レスリング――変容する柔術と継承される“Jiu-Jitsu” 薮 耕太郎
1 「外国人ポリス」の誕生と大統領への柔術指南
2 日露戦争と「柔術ブーム」
3 柔術vs.レスリング
4 柔術から“Jiu-Jitsu” へ
コラム1 海を渡ったヤマトナデシコ――柔道家福田敬子 形の探求とやわらかい文化発信 名久井孝義
第2章 柔術家シャーロック・ホームズ、柔道家セオドア・ルーズベルト――英米における柔術/柔道ブームの位相と身体文化 岡田 桂
1 イギリスにおける柔術
2 世紀末イギリスの「身体文化」
3 イギリスにおける柔術観:柔術⊆「身体文化」
4 アメリカにおける柔術/柔道
5 アメリカにおける柔術観:「身体文化」≠柔術?
6 イギリス・アメリカにおける柔術/柔道ブームの位相と「身体文化」
7 黄色い禍:身体文化の終焉と柔術
コラム2 ボクシングにも「投げ技」があった? 松井良明
第3章 パリの巴投げ――フランス式柔道への道 高木勇夫
1 格闘技の系譜
2 イギリス経由で輸入された柔術
3 合理性の追求
4 メトード・カワイシ
5 国際化への道のり
コラム3 柔道と文化の混淆――パリ郊外の柔道場のフィールドワークから 磯 直樹
第4章 ドイツの柔術・柔道 市場俊之
1 柔術の普及と変容
2 柔道の導入
3 柔道の普及とナチスによる利用――ナチス期の柔道
4 第二次世界大戦後のドイツ柔道
5 「ドイツ流」の柔術/柔道
コラム4 柔道発祥の地は本当に日本か 小野勝敏/水野博介
1 柔術は中国人から伝来か
2 柔道の起源は韓国か
第5章 ロシアのサンボ――「柔術の理論」 古賀 徹
1 サンボとはどういう競技か
2 ユーラシアのバリバー
3 日本柔道との邂逅
4 「護身術」としての発展――サンボの名称の意味と柔術の影響
コラム5 知られざる柔道強国グルジア 西森 大
1 知られざる柔道強国グルジア
2 グルジア柔道の強さの原点「チダオバ」
3 もう一つの強さの源、ハングリーさ
4 ヨーロッパで広がる新しい「JUDO」
第6章 柔術、南米にいたる!――ある柔術家の生涯をたどって 薮 耕太郎
1 日本からアルゼンチンへ
2 スポーツクラブと柔術
3 パラグアイ社会と柔術
4 異種格闘技試合とその後の福岡の足跡
コラム6 戦後日本、「プロ柔道」誕生――柔道と大衆娯楽 塩見俊一
第7章 還流するJiu-Jitsu――「移民」とブラジリアン柔術 川越和人
1 ブラジリアン柔術の誕生と発展
2 日系ブラジル人移民と日本ブラジリアン柔術連盟
3 日系ブラジル人移民によるブラジリアン柔術活動実践
コラム7 「高専柔道」という異端 大久保英哲
おわりに 坂上康博