滝山コミューン一九七四

個数:1
紙書籍版価格
¥770
  • 電子書籍
  • Reader

滝山コミューン一九七四

  • 著者名:原武史【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 講談社(2013/11発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062766548

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

内容説明

郊外の団地の小学校を舞台に、自由で民主的な教育を目指す試みがあった。しかし、ひとりの少年が抱いた違和感の正体は何なのか。「班競争」「代表児童委員会」「林間学校」、逃げ場のない息苦しさが少年を追いつめる。30年の時を経て矛盾と欺瞞の真実を問う渾身のドキュメンタリー。(講談社文庫)

目次

1 序
2 改革
3 「水道方式」と「学級集団づくり」
4 二つの自己
5 代表児童委員会
6 「P」と「T」の連合
7 6年になる
8 自由学園・多磨全生園・氷川神社
9 林間学校前夜
10 林間学校
11 追求
12 コミューンの崩壊

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

186
第30回(2008年)講談社ノンフィクション賞。 団地が時代のブームだった頃に 東京の郊外 滝山団地の子弟が通う 小学校が舞台である。 昭和40年代の 団地と学校の風景が 今に蘇る。著者が語る七小での日々と 平行して語られる 中学受験への日々の方が むしろ 興味深いが…あの時代を 振り返るには ちょうどいい、そんな本だった。2018/07/29

HANA

67
60~70年代には資本主義の勝利が明らかになっていない事もあり、珍妙な社会実験がやたら行われていた時代でもあった。本書は東久留米市滝川団地に出来た小学校を舞台にした社会実験の顛末であると共に「政治の時代」後を生きた著者の個人史でもある。「学級集団づくり」という教育方法で班ごとに競わせているのだが、それが簡単に全体主義へと雪崩れ込んでいく様はほとんどホラー。あと本書のもう一つの主人公は滝川団地自体だと思う。団地の無個性性は一時期筒井康隆で読んでうすら寒い思いをしたことがあるが、何となくその感覚を思い出した。2018/02/22

ころこ

43
「滝山コミューン」とは、子供の共同体のことです。本書は、当時、東京郊外にある滝山団地に住んでいた著者が通った東久留米市立第7小学校の先生、生徒、保護者を仮名ながら、固有名で記録した一次資料です。児童会の運営は活発で、小学生でここまでできるかというほど洗練されています。政治性を発揮する一部の早熟な子供に対して、これまた子供らしからぬ当時の著者が批判的に振り返ります。子供時代を語ることで、著者の仕事の着眼点、方法論など、参考になる記述が多くあることに気付きます。他方で、学級の民主集中制を理想とした組織は、2020/01/02

翔亀

33
74年東京の巨大な滝山団地。母親と教師による「国家権力からの自立と、児童を主権者とする民主的な学園を目指した地域共同体=滝山コミューン」があった。しかし、その内実は・・・。天皇制等現代史の書換えで知られる日本政治思想史家が、「奇妙な懐かしさ」と「人生に消し難いトラウマ」を残した自らの小6の体験を記録に残した。それは、「個が崩壊して集団に飲まれ込む心地よい一体感」とその反面、6年5組独裁体制批判者として吊上られるという<個の圧殺>の体験だった。歴史に埋もれかけた事実を単なる個人史でなく思想史に昇華した傑作。2014/07/06

ミエル

31
魅力的に見えたタイトルとは違い、個人的には徐々に興味が削がれる作品だった。一言で行ってしまえば薄気味の悪いコミューンの誕生から衰退までの回顧録。高度経済成長期、日教組色の強い新設小学校、生活水準が似寄の住民が集まった新設「団地」、この閉塞的な空間に「ある種の偏った思想」を投入するとどうなるのか?といった壮大な実験だったのではないか?と思うほど、子供も母親も簡単に洗脳されていく不気味さがホラー。集団ヒステリーと同等の違和感を感じてしまうのは、世代が違うからなのか?なんとも後味が微妙な作品。2019/08/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/597592
  • ご注意事項