内容説明
たった一人の本当の神を探し求めた宮沢賢治、信仰と宗教の違いを問いかけた三輪明宏、自由の魅惑と苦悩を冷徹に突き詰めたドストエフスキー。霊性を見つめた人々の言葉を辿り、底に流れる言霊の力を発見する。
目次
ジョバンニの生成―銀河の「孔」を抜けて
折口信夫―呪力と魂乞ひ
三島由紀夫―エロスとしての死
中上健次―「路地」の両義性
高橋和巳―生涯にわたる阿修羅として
ドストエフスキー―自由と聖性への「ふみ越え」
ニーチェ―哄う預言者
バタイユ―稲妻のエロティシズム
ロートレアモン―殺人の神学
寺山修司―「完全な死体」へ向かう言葉
美輪明宏―美の信仰と仏性と
宮内勝典―始祖鳥のまなざし
山尾三省―三つ星の祈り
出口王仁三郎―スサノヲぶりと大化物
包越としての霊性―宮沢賢治における宗教と芸術と科学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
「三島由紀夫は、折口信夫に対して強い関心と独自の評価をもっていた。たとえば、三島の『三熊野詣』は折口信夫をモデルにした小説であるが、その中で黒い服を着た「先生」の一行が大学構内を歩く一種異様な姿を、学生が「葬式が通る」と噂すると描写している。それはしかし、折口に対する三島なりの評価と敬意の表現だったのではないか。というのも、「死」を光源として文学活動を展開してきた三島からすれば、『死者の書』や「まれびと」論や貴種流離譚説を提唱した折口は、大変身近なところにいる先達だったに違いない」2018/07/21
のり
4
折口信夫、三島由紀夫の章のみ。2018/11/10
sloth_life
0
拾い読み2016/07/17
天宮
0
メモ:輪廻転生。『千年の愉楽』。『豊穣の海』。『深い河』。『高丘親王航海記』。『死者の書』。宮内勝典。文学の力。猛毒を含んだ文学書を読むことで、人間に免疫がつく。人間の醜悪さ、おぞましさ、きよらかさ、悪、それらすべてを清濁併せ呑む人間の宇宙。たったひとりのほんたうのほんたうの神さま。魔物(自分)と闘う者は、その過程で自分自身も魔物となることがないよう、気をつけなければならない。変性男子(男霊女体)。変性女子(女霊男体)。『長編叙事詩・地獄篇』。世界の涯てが自分自身の夢のなかにしかない。鳥シャーマニズム(脱2011/01/23
ホンドテン
0
所有(電子版)、AMoAの「顕神の夢」の種明かしとして読む。出口の「宗教の母としての芸術」は核心であり折口に通底する。むしろ「やせた精神」は自戒として刺さる。2023/08/10