ポストコロニアリズムとジェンダー

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ポストコロニアリズムとジェンダー

  • 著者名:菊地夏野
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • 青弓社(2014/03発売)
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  • ISBN:9784787233134

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内容説明

占領期沖縄の売買春と日本軍「慰安婦」問題を具体的な素材にして売買春と女性の主体性について精緻に分析し、植民地主義とジェンダー・セクシュアリティの関係性を浮かび上がらせる。沈黙と分断を超えるためのポストコロニアル・フェミニズム研究。
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目次

序章
 1 本書の問題意識
 2 本書の視点
 3 本書の構成

第1部 売買春・戦争とフェミニズム

第1章 売買春をめぐる「自由意志対強制」の神話――一九九〇年代社会学の論争から
 1 一九九〇年代以前の売買春の善悪二元論
 2 「自由意志対強制」の言説
 3 繰り返される「自由意志対強制」――日本軍「慰安婦」問題をめぐって
 4 分断される「女性」

第2章 戦争と女性――ポストコロニアル・フェミニズムと沖縄・「慰安婦」
 1 フェミニズムの戦争論
 2 普遍主義的フェミニズムへの批判
 3 「女」を構築するプログラム
 4 ポストコロニアル・フェミニズムの可能性
 5 沈黙のポリティクス
 6 ポストコロニアルと日本社会
 7 売買春と国家の関係性の葛藤
 8 占領期沖縄の売買春に対する視座
 9 日本軍「慰安婦」問題に対する視座

第2部 軍事占領期沖縄の性暴力と売買春

第3章 軍事占領社会における売買春管理――売春禁止の言説と住民弾圧
 1 セクシュアリティ統制の開始――記録されない性暴力とレイプの自然主義的解釈
 2 軍政府の始動――売春禁止と強制性病検査
 3 コザ・ビジネスセンター設置
 4 売買春管理の進行

第4章 Aサイン制度のポリティクス――女性の「自由」の裏側で
 1 Aサイン制度の確立
 2 売買春管理の全貌
 3 売買春管理の総体的意味――売春禁止と性病検査の二重体制
 4 女性にとっての「自由」
 5 女性の「自由」の裏側で――作られる兵士の主体

第5章 挿入される国家と女性の分断――反売春運動の軌跡と売春女性の痕跡
 1 歓楽街設置問題から――「売春=悪」という前提
 2 売春防止法要求運動
 3 復帰への渦のなかで

第3部 日本軍「慰安婦」問題

第6章 英雄と売春婦を構築するナショナリズム――スピヴァクのサバルタン論から
 1 公的責任の否定と「私」化
 2 「慰安婦」を「売春婦」と見なす
 3 守られる日本国家の権威
 4 分断される女性とその先へ

第7章 検閲する力と触発する力と――女性国際戦犯法廷・番組改竄問題
 1 事件はどのように解釈され裁かれたか
 2 何が消され、何が残されたのか
 3 ナショナリズムの上演
 4 フェミニズムのなかの葛藤
 5 自発的なナショナリズムと表現の自由
 6 テクストの書き換え

第8章 「慰安婦」問題とフェミニズム――女性の表象のプリズム
 1 「公娼」と「慰安婦」の関係性に関する評価
 2 家父長制社会という連続性
 3 フェミニズム内の論争
 4 ポリティクスを超える視座
 5 「従軍慰安婦」制度という言説
 6 希望

第9章 女性国際戦犯法廷からポストコロニアル・フェミニズムへ――植民地主義と女性
 1 米山の批判的フェミニズム
 2 曖昧な女性のポジション――フェミニズムの現在
 3 フェミニズムの植民地主義を超えるために
 4 ポストコロニアル・フェミニズムの可能性

終章 売買春と女性の主体――分断を超えて
 1 統制されるセクシュアリティ
 2 Aサイン制度
 3 反売春運動と「女性」アイデンティティ
 4 「慰安婦」問題をめぐるナショナリズム
 5 ポストコロニアル・フェミニズムへ
 6 「自由意志対強制」の構図の意味
 7 沈黙と分断の彼方へ

ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えんさん(연싼)@読書メーター

1
日本軍「慰安婦」問題を特殊な日本的事情と捉えると、運動に限界が出てくるのではないのか。著者は初っ端からこれまでの慰安婦問題に対する運動に疑問を投げかける。この本の主張は、朴裕河が「帝国の慰安婦」で帝国や国家、男性の問題として再度問いかけようとした部分と重なってみえた部分もあった。やはり単なる人権問題として戦時性暴力を見るのではなく、本書で取り上げられる沖縄の基地村の女性たちなど、女性が国家に利用されるし、需要もまた国家に作られることを留意しなければならないと再認識した。2015/06/01

えんさん(연싼)@読書メーター

1
新しい問題を提示する、というよりは慰安婦や沖縄の売買春をめぐる闘争といった事例から、いかに「女性」が分断されてきたのかが、整理されていた。慰安婦が〈自由意志か、性奴隷か〉という二元論で矮小化されてきたように、「女性」は被抑圧者となると同時に、抑圧者にもなるということを意識しなければならない。2015/05/22

ftoku

1
これまで女性の表象を掲げ権利を主張していたフェミニズムが抱えていた「分断」という限界を復帰前の沖縄の売買春と日本軍慰安婦問題を例にしてポストコロニアリズムの手法によって明らかにし、新たな方向性を指し示している。なかなか向き合う機会の少なかった問題だけに、勉強になった。2011/07/26

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