内容説明
ジョージ・サリッジは英国第二の動物園で園長を務めている。申し分ない地位に就いてはいるが、博打で首は回らず、夫婦仲は崩壊寸前、ふと愛人に走る始末で、老い先短い叔母の財産に起死回生の望みを託す。その叔母がいよいよ他界し、遺言状の検認がすめば晴れて遺産は我が手に、と思いきや……。目算の狂ったジョージは、しょうことなく悪事に加担する道を選ぶ。自分たちに疑いは向けられない、万一の場合もジョージが泥をかぶることはない、と相手は言う。そう、良心の呵責を別にすれば事はうまく運んでいた。フレンチというスコットランドヤードの首席警部が横槍を入れるまでは――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
99
★★★★☆ 序盤は『クロイドン発12時30分』と同様の展開だが、叙述者(犯人)が主犯ではない点が面白い。 そのため、前半で倒叙のスタイルをとりながら、後半で謎解き(ハウダニット)に移行できているのだ。 このスタイルはクロフツが初めてではないだろうか。 犯人のジョージは基本的には善良で、欠点は多々あれど悪人ではなかった。それが完全に巻き込み事故のような形で犯罪に手を貸してしまったのであり、同情の余地が大きかったのもポイント。 最後は強引にまとめた感があるが、一応大円団なのかな(^^;)2019/12/05
Ribes triste
13
今回は倒叙ミステリーの体裁。うまいなあ、そして面白い。クロフツの描く犯人は決して凶悪ではなく、その心情が実に人間的なのがいいのです。もっとシリーズを読みたいのですが、入手困難なのが残念。2018/05/17
ホームズ
12
最後の未訳作品。久々に読んだフレンチ警部シリーズ。なんだか今までよりも読みやすくって良かった(笑)前半は倒叙ミステリって面白いな~って感じで良かった(笑)まあ今回は主犯じゃないしあんまり犯人を応援できなかったけど(笑)後半からは相変わらず徐々に真相に迫っていくフレンチ主席警部の姿が良いですね(笑)『クロイドン発12時30分』が読みたくなったな~(笑)2010/06/09
rara
7
ちょっとした浮気から思いがけずに悪事に手をそめる事になった動物園園長さんがお気の毒で…。一緒にはらはらしながら読み進めました。作者は宗教的な家庭で育ったとありましたが、淡々とした文章と結末にその影響を感じられました。2020/11/09
旅猫
7
一度は抑えた殺意が、違った形で実行へ移される。共犯者の視点からの倒叙ミステリ。蛇を捕まえるため暗闇で待つジョージの心理と、ラストでの穏やかな様と対比が興味深い。ジョージしかりナンシーしかりキャッパーしかり。みな誘惑に負けた普通の人たち。だからといって罪を犯してよいものではないけれど、弱い部分には共感と行かないまでも分かる部分はある。・・・のは私が弱い人間だからか。2010/10/01
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