内容説明
17世紀に提唱されてから、ワイルズによって証明されるまで、360年にわたって数学者をとりこにし、その人生までも狂わせてきた「フェルマーの最終定理」。その証明に挑んだ人々の記録は、そのまま数学史の記録でもあり、これまでもその奇跡を追ったルポルタージュなどで紹介されてきた。本書は、その数学史を、史実に基づいた小説形式で紹介する読み物。東京に暮らすごく普通の若者である主人公が、古代ギリシアのアルキメデスから、中世ロシアのオイラー、19世紀フランスのソフィー、日本の志村・谷山など、時空を超えて数々の数学者と出会い、対話形式で物語は進む。そしてヒロインの女性と、数学を通じて心を通わせ、その結末は……。数式はほとんど使わず、数学の知識がなくても読むことができ、なおかつ近世数学史の一部が読者にわかりやすく伝わる渾身の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
晴れの国のにっしぃ
43
証明されるまで360年もの年月を必要とした「フェルマーの最終定理」が完全証明されるまでの先人たちの努力が主人公の恋愛と絡めて綴られている。“理系”という言葉の響きに憧れを持っていた(今と比べると)柔らかい脳と思考を持っていた高校時代の自分に読ませてあげたい。人生変わっていたかもなぁ。(笑)2010/11/14
クリママ
37
ラノべのような物語の中で、定理が証明されるまでの数学者の歴史がわかりやすく綴られている。すぐに読めてしまうが、こちらもわかりやすく書かれているはずの巻末の解説を読んで理解するのに時間がかかる上に、そもそも理解できているのかもわからない。サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」を読む前の入門書のつもり。2016/05/27
coco夏ko10角
31
【再読】書庫をあさってたら見つけて懐かしくなり久しぶりに。発売直後に購入して読んで以来なので5年以上ぶり。フェルマーの最終定理が証明されるまでの歴史をざっくりと知ることができる。書店員の主人公と出版社で働く香織さんのちょっとしたストーリーも楽し。今度サイモン・シンの『フェルマーの最終定理』も再読しよう。2015/09/18
えも
25
図書館のヤングアダルトコーナーにありましたが、いかにもな感じ。20代の本屋の非正規社員が主人公で、もどかしいほどに進展しない鈍感な恋愛話と、彼が見る夢に出てくる、ワイルズの証明に関する様々な数学の分野の歴史とが、平行して進んで行くという構成でした。▼理論を噛み砕いて説明するというより、真実を求める数学者たちの熱い想いを伝えようとしていて、それは共感できるなあ♪2017/10/13
kemuta
24
フェルマーの最終定理が証明されるまでを、できるだけ簡単に紹介している。とても読み進めやすいので、数学に対する興味へのとっかかりとしては、とても良い本ではないかと思います。この続きとしては、結城浩さんの数学ガールが良いように思います。2011/02/28